死なせてくれない死神さん

六話　キンセンカと音楽 ページ6

もう死なせて。


私は合唱部の部長で、音楽が好きだった。


でも、最近病気で声を失った。


ある部員からもらった金盞花を押し花にした栞をポケットから出す。



この花､花言葉がたくさんあったよな。どの意味だろう。



歌えないなら死んでもいい。生きがいが無くなったんだから。



「あーあ、可愛そう。生きがいが無くなるって辛いよね！
　つまらない人生を歩むよりか私と一緒に逝った方がいいよね！」



いきなりかかった声に驚きつつ、スマホに文字を打って会話を試みる。



(その通りですね。私は今死ぬ予定です。)



「ふーん。じゃあ死ぬ前に一つ聞いてくれる？

　音楽は言葉よりも表情豊かだ。
　楽器の演奏だって、意識していなくても聞き手に心情を読み取られることがある。
　君は歌っていたんだ。肺活量は申し分ない。
　いろんな楽器が演奏できるよ。
　どう？もう一度､音楽の世界に足を踏み入れてみない？」



私の頬を雨ではない何か月たる。



「ああ､無理はしなくていいよ！無理に生かす気はないし、一緒に死んであげるからね！」



私は首を横に振って拒否した。



目に溜まった涙でスマホの画面が見えず、文字が打てない。



「､､､､残念。でもいつか君が音楽の世界で輝くのを楽しみにしているよ。」



宝石は何度だって、割れても砕けても輝く。







金盞花の花言葉→別れの悲しみ､失望 など



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