さんじゅきゅう。 ページ40
◇
この細い身体のどこにそんなに入るのだろう。
『えっと、その……お客様、申し訳ございません、残りが10個となっておりまして、ご希望の数のシュークリームをご用意するのは難しくなっております』
「えー、そうなの？ それならその10個持ってきて。あと、お姉さん俺の船で作ってよ」
『船？ ……あれ？ お客さんどこかで会ったことあります？』
船、ということはこのお客さんは船乗りなのだろうか。
Aがお客さんの顔をよく見ると、その顔にはどこか見覚えがあった。
「あんたみたいな可愛い子にナンパされるなんて嬉しいな」
『ナンパじゃないんですけど……お客さん、妹さんとかいます？』
「妹なら神楽っていうのが1人いるよ」
『神楽……あっ、神楽ちゃんのお兄さん？ だからどこか見覚えがあったんだ』
クリームのついた指を舐めながら見上げてくる、桃色の髪を三つ編みにしたこの人はまさかの神楽の兄だった。
「俺、神威。あんたの名前は？」
『Aです。神楽ちゃんとは仲良くさせてもらってます』
「へえ、神楽の友達だったんだ。それなら俺の友達でもあるね、よろしくA」
柔かに笑みを浮かべて握手を求めてくる神威に、Aは何の疑いもなく手を握り返す。
「このシュークリームっての気に入ったよ。よいしょっと」
『う、わっ！？ な、なにして……っ』
握り返した手を引かれたと思うと、Aの身体は宙に浮いていた。
これは浮いている、というよりは肩に担がれている。
『神威さん！？ 下ろしてくださいっ』
「神威でいいよ。あんたを連れて帰ればいつでもこれ食べられるデショ？ だから持って帰る」
『持って帰るって…いやいや、私シュークリームなんて作れませんし。お持ち帰りするなら佐藤さんにしてください』
「Aちゃん！？ おじさんを売らないで！？」
Aと神威のやり取りの一部始終を厨房から見ていた佐藤は、勢いよく首を横に振る。
というか見ていたなら助けてよ、とAの冷たい目線と、佐藤をじっと見つめる神威の視線が佐藤に向けられていた。
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ここ(プロフ) - れいなそんさん» れいなそんさん、コメントありがとうございます^ ^更新が不定期で申し訳ありません…！本日更新いたしましたので楽しんでいただけると嬉しいです。 (2021年6月20日 9時) (
レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
れいなそん - ｱｯ神作やぁ…一体誰が呼んだんだろ…続きが気になるんじゃ (2021年6月20日 8時) (レス) id: 509e7f7d74 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - RENKAさん» RENKAさん、面白いと言ってくださりありがとうございます。一体誰が呼んだんでしょうか…？次の更新をお楽しみにです^ ^ (2021年5月7日 7時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - めっちゃ面白いです！一体誰が呼んだんだ？？気になる…！！ (2021年5月6日 23時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 雪見大福さん» 雪見大福さんコメントありがとうございます！さてさて、一体誰でしょうね？？^ ^ (2021年5月4日 8時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ここ
| 作成日時：2020年12月17日 13時
