*23*もう二度と会えなくても、きっと忘れない ページ30
「あ、見て総悟!金平糖!
買っていって近藤さんやトシと食べよう!」
「そうですねィ。」
上機嫌に買った金平糖を手に歩く少女。
こちらに帰ってきた当初は寂しげな顔をするばかりだったが、こうしてまた笑顔が増えた。
すると、ピタッと歩みを止めると金平糖の瓶を眺めた。
「…総司も金平糖食べてるのかな…。」
「あいつのことでィ。
土方さんをからかった後にでも食べてまさァ。」
「ふふ、そうだね。
それに歳三さんが怒って追いかけっこ始めて、3人が騒ぎ立てて、千鶴が困ったように、一が呆れたように見てて、近藤さんが朗らかに笑ってるんだよ。」
今でも鮮明に思い出すもうひとつの新選組。
もう二度と会えなくても、きっと心は通じあってると信じている。
本当に短い間ではあったが、間違いなくあそこは私のもうひとつの場所になっていた。
新選組のみんなへ思いを馳せていると、
「おーい!Aちゃん!」
「勲の方の近藤さん!」
「ちょっと待って?!勲の方って何?!」
近藤さんが駆け寄ってきた。
どうしてここに?
またお妙さんへ迷惑な求愛行動をしていたのだろうか。
「まったく…年中発 情期ゴリラは困りますね。」
「……年中発 情期ゴリラ?!
Aちゃん俺のことそんな風に思ってたの?!
…ってトシ?!何でそんなに離れる?!」
ん…?トシもいるの?
「近藤さん…俺らにも近寄らないでくだせェ。
ゴリラが移りやす。」
「ゴリラは移るものじゃないから!」
近藤さんがゴリゴリと泣いてるのをよそに、
私はトシの所に駆け寄る。
「金平糖買ったの!一緒に食べよう!」
瓶を振ってカラカラと金平糖アピールをする。
「…そうか。たまには甘いのも良いかもな。」
トシはそう言うと、咥えていた煙草を手に持ち、反対の手で私の頭を撫でた。
もう傷が塞がり、今まで通りのトシの姿。
私が戻った時、トシはまるで死人のように眠っていたが、目が覚めてこうして元気な姿をまた見る事が出来て良かった。
私は撫でる手にふへへ、とだらしなく笑う。
すると、鋭い視線が突き刺さった。
「おっと土方。それ以上Aに触れるとその腕切り落としやすぜィ。」
そんな総悟の殺気立った言葉にため息をつき、手をどけるトシ。
「お前、そんなに束縛して逃げられても知らねぇぞ。」
「俺から逃げられるわけないでさァ」
そんな頭上の会話を聞き流し、
改めて繋がってはいない空に
「ありがとう」
と零した。
きっとあの温かい場所は忘れない_
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蒼(プロフ) - 白桜姫さん» 最後まで御付き合い頂き、ありがとうございました!納得のいかない出来でしたが、そう言って頂けるととても嬉しいです!本当にありがとうございます! (2019年1月13日 9時) (レス) id: 5c400621d9 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 面白かったです。完結おめでとうございます^ ^ (2019年1月13日 0時) (レス) id: 65e85aeb0b (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 白桜姫さん» 読んでいただけたこと、コメントいただけたこと、とっても嬉しいです!ありがとうございます!なかなか更新できませんが、完結まで頑張ります! (2018年12月5日 7時) (レス) id: 5c400621d9 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - めっちゃ面白かった( ´∀`)続き待ってます。 (2018年12月2日 19時) (レス) id: 238bac18d2 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - 蒼さん» 更新待ってます! (2017年4月23日 22時) (レス) id: eaaf208dbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼 | 作成日時:2014年3月27日 2時