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*思い出21*最後の冗談……? ページ27

「Aちゃん、おはよ。」

真っ先に声をかけてくれたのは総司だ。

「おはよう、A!」

それに続いて平助。

次々に挨拶してくれる皆に

「おはよう。」

と私も笑って返した。

私は総司と一の真ん中に空いてる席を見つけ、そこに座った。

あくまで皆いつも通りだ。

総悟は新八と平助に挟まれ、おかず強奪戦に参加させられていた。

今日の味噌汁は豆腐や大根や人参などが入った、塩分控えめそうなものだった。

きっと一作だろうと推測し、味わうようにいつもより時間をかけて咀嚼する。

朝餉が食べ終わると、頃合を見計らったように

「A、1時間後に出発しまさァ。

準備しときなせェ。」

と総悟から声がかかった。

その声に僅かに空気が重くなった気がした。

「うん…。」

本来なら昨日のうちに戻ろうとしていたはずなのに、そうしなかったのは総悟の優しさだろう。



自室に戻り、荷造りを始めた。
元々荷物など無いに等しいので、荷造りは一瞬だった。

あと1時間どう過ごそうか…

皆と話そうにも、話したら未練がましく、またこちらに来てしまいそうになりそうだしな……。

と考えていると、障子に人影がうつった。

「Aちゃん、少しいい?」

「総司…?」

私が返事をすると、スッと障子が開いた。

「ちょっとお話しない?」






そう言って来たのは縁側。

そこに座り、ぼーっと庭を眺める。

「君がいなくなると、ここも静かになるね。」

先程とは違い、悲しげな色をした瞳に少し驚く。

総司はそんな私をちらりと見ると、笑った。

「最初は生意気で、何かしたらすぐ殺しちゃおうって思ってたのに、不思議といつの間にか君に絆されてた。」

そう、少し寂しげに笑う総司にせっかく固めた決意が激しく揺さぶられる。

次の瞬間、突然軽く手を引かれる。

突然のことで反応できなかった私はそのまま総司の胸に飛び込むような形になってしまった。

そしてそのまま優しく抱きしめられる。

「…総司…?!?!」

思わず驚きの声を上げる。

『 いきなり何なの?!』っと続けようとしたが、

「行かないで」

と聞いたことない総司の弱々しい声が聴こえ、言葉を飲み込んだ。

そして言葉を認識した瞬間、激しく動揺した。

「そっ……そう……じ……!私………!!!」

「なんてね。冗談だよ。」

「じょ……冗談…?」

混乱した私にニコニコと笑い、体を離すと

「元気でね。」

と小包を渡し、去っていった。




「…言うつもりはなかったんだけどな」

作者より→←*思い出20*最後の朝



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(プロフ) - 白桜姫さん» 最後まで御付き合い頂き、ありがとうございました!納得のいかない出来でしたが、そう言って頂けるととても嬉しいです!本当にありがとうございます! (2019年1月13日 9時) (レス) id: 5c400621d9 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 面白かったです。完結おめでとうございます^ ^ (2019年1月13日 0時) (レス) id: 65e85aeb0b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 白桜姫さん» 読んでいただけたこと、コメントいただけたこと、とっても嬉しいです!ありがとうございます!なかなか更新できませんが、完結まで頑張ります! (2018年12月5日 7時) (レス) id: 5c400621d9 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - めっちゃ面白かった( ´∀`)続き待ってます。 (2018年12月2日 19時) (レス) id: 238bac18d2 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - 蒼さん» 更新待ってます! (2017年4月23日 22時) (レス) id: eaaf208dbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2014年3月27日 2時

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