gin and tonic [kym×hkt] (ページ11)

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「そっか。じゃあ俺さ、」

ぐっ、とカウンターに身を乗りだされたのを周辺視野で捉えた俺は思わず顔を上げて、彼が大我さんであることに気づく

"ホクトくん独り占めだね"

...あの馬鹿みたいなギャルが樹にも同じようなこと言ってた気がする。あんなにくだらなく思えたのにおかしい。気味が悪いほどに、彼の言葉はすんなりと入ってきた

なんでいつも、声だけで気づかないんだろう。いつもいつも、彼の顔を見て初めて気づく

「やめてください...」

我ながら蚊の鳴くような声だった。気持ちが動揺したときにうまく交わせないのはコミュ障のさだめだと思う

手が若干震えてる気がしなくもない。どうあがいても動揺している自分を極力隠しつつ、彼の前にそっとカクテルを置く

「ありがとう。...あ、こないだジェシー来たでしょ」

あの大柄の男か

「来ましたよ。大我をよろしくって言ってました」

「あはは！よろしく、かぁ...そうだね...よろしくされちゃう？」

悪戯っぽくそう言った。"よろしくされちゃう"を脳内で検索したけど、残念ながら俺の辞書では望んだ検索結果は出てこなかった。どう繋げても品のない話しかでてこない

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