【歌い手】出会いは偶然…だったよね？【浦島坂田船】

【11】センラside＆うらたside ページ19

坂田のあのセリフ。
もしかしたら本人に自覚は無いのかもしれないがあの言い方だと、crew全体が、というよりもあの子だけでもが楽しんでくれたのが嬉しいというふうに聞こえてしまった。

これは指摘をするべきなのか。
悩んでいると不意に背中をつつかれる。
振り返るといつの間にか着替え終わったうらたんがいた。

｢なんですか？｣と聞こうとした時、うらたんは自身の口の前に人差し指をたてた。
…何も言うなってことかな？
俺は無言で頷き、再び着替え始めた。
うらたんはそれを見届けると俺の傍から離れ、何事も無かったように水を飲んだ。


う｢話はあとでいくらでも聞くから、とりあえずお前は早く着替えろー。｣

さ｢あ、そや。着替えんと。｣


うらたんに促され慌てて着替え始める坂田。
志麻くんの方に視線を移すと、何事もなかったようにスマホをいじっていた。

坂田の先程の言葉。
本音を言えば、俺も坂田と同じ気持ちなのだ。
あの子が楽しそうに笑っているのを見た時、他のcrewの笑顔を見た時以上に嬉しいと思った。
…気のせいだと思っていないあたり、俺も坂田と同じなのだろうな。

そう思いながら、先程撮った自撮り写真をツイ〇ターに投稿した。


うらたside
坂田に着替えを促したあと、喉を潤すために水を飲む。
その間に思い浮かぶのは、先程の坂田の言葉。

昨日会ったあの女の子。
特にこれといった特徴をもった人ではなかった。
スタイルがいいというわけでもなく、特別顔がきれいというわけでもない。
本当に普通の、どこにでもいるような子。

だがどういう訳だが、その女の子は俺の記憶に強く残っている。
いや、俺たち(・・)と言った方が正しいのだろう。

坂田は先程の言葉で。
センラマンは、名前を知りたいと思っている発言で。
まーしぃは、ライブ中あの子を見つけた時に嬉しそうな顔をしていた。
それぞれわかりやすい反応をしていた。

ちなみに俺はまーしぃと一緒で、ライブ中にあの子を見つけた時、驚きと同じくらい嬉しいと思ったんだ。
つくづく俺も分かりやすいやつだな、と思わず苦笑いを浮かべた。

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