【歌い手】出会いは偶然…だったよね？【浦島坂田船】

【23】うらたぬきside ページ32

照れながら敬語なしで話すA。

それに耐えきれなかったのか、まーしぃと坂田は顔を伏せる。ちなみに坂田は耳が赤くなっていた。
センラも少し照れているみたいだが、｢よろしくねー｣と何事もないように返事をする。
かく言う俺も、直視出来ずにいた。
まぁ、一応｢よろしく｣と返事しておいたけど。


さ｢…あとさ、出来ればでいいんだけど、L○NE教えてくれない？折角仲良くなったから、これからも色々と話したいんやけど…｣

『えっ。あ、はい…じゃなくて、うん…。』


いつの間にか平常運転に戻った坂田がAに連絡先を聞く。さっきまで照れてたのに立ち直るの早いな。
Aは、と言うと敬語になりそうなのを途中でタメに変えながら、自分のスマホを取り出す。


し｢ん？L○NE交換するのか？じゃあ、俺もよろしく。｣

セ｢あ、俺もー。｣

う｢どうせだから、グループ作ろうぜ。｣


坂田に便乗して俺らも連絡先を交換しようとする。
その間、Aは少し不安そうな顔をしていた。


う｢…どうかした？もしかして連絡先交換するの、まずかったりする？｣

『あ、いや。“ 私 ”は大丈夫だけど、その…皆に迷惑じゃないかなって思って…』


そこまで言ってAは言葉を詰まらせる。


あぁ…なるほど。
Aは俺達のことを心配してくれてんのか。


多分、というか絶対にこいつは俺らが｢浦島坂田船｣だと気づいている。
だから他のcrewにこのことを知られて、俺らが叩かれることを恐れているのだろう。
本当なら自分のことを心配すべきなのに、｢“私”は大丈夫だけど…｣って。

優しい奴なんだろうなとは思っていたが、ここまでくるとお人好しと言った方が良さそうだな…。
心配してくれるのは嬉しいが、逆にこっちが心配になる。

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