ハッピーハロウィン? ページ26
「ハッピーハロウィーン!」
「ラピス、この村でハロウィンイベントは無いよ…」
この村でもとうとう10月が終わろうとしている。窓から入ってくる楓達も、段々少なくなってきていた。村の子供達は、下の町で行われるハロウィンを楽しみにしている。ただ、ハロウィンに行くことが出来るのはごく一部で、殆どは饅頭を咥えてハロウィンを過ごしている。ラピスもその一人である。
「今年はハロウィン当選するかなあ」
ただ、この当選会は神の化身は優先されない。今まで100年の間、ラピスが当選したのはたった一回であった。
この辺りだろうか。下の町に下りてきた。町には、甘いお菓子がたくさん売っている。チョコレートやキャラメル、キャンディにクッキー、ドーナツ。どれも美味しそうで、甘い香りが町に広がっていた。
(…ラピスは小さいから小さいお菓子かな)
キャラメルがあった。チョコレート味と抹茶味を購入しようと、カゴに入れた。表示の通りのお金を出し、持ってきた鞄に財布とキャラメルを入れた。
「ハッピーハロウィン!」
ついに当日である。
ラピスは声こそ張っていたが、表情はまるでジャック・オー・ランタンのようだ。また、当選しなかった。
「ラピス」
「…な〜に…?」
私はキャラメルを握らせる。
「…キャラメル?」
私は頷いた。ラピスは明かりが点いたかのようにパッと明るくなった。
「ありがとう!」
私は、今年くらいはお世話しないと、と思った。さて、下の町に向かうとするか。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪乃妃萌乃 | 作成日時:2020年12月22日 19時