雛祭り ページ19
3月3日。雛祭り…桃の節句。私は、人形飾りに一苦労。この作業、苦痛。こんな古い雛人形を、神社の十二支宮本宮に飾るなんて。面倒だな。私は、装飾品を袋から出す。面倒だな。
この作業、誰も進んでしない。料理が下手な神は特に。何故だと思う?料理するってのは分かるが、あられとか三角の餅とか、沢山作らなければならない。それが苦痛で、皆嫌う。猿神の化身のザベとベレフと、母さんのマロンテ以外、喜んでいるのは見たことがない。
普通に餅をこねるだけだから、私に期待がのっかかっている。力が強いとは言われても、私は面倒事は嫌いだ。
私は餅をこねはじめる。かたいとは思わないが、面倒くさい。自身の干支が来たら皆、半分嬉しくて、半分面倒くさいのである。
「…ふう、やっと出来た」
全部完成した。問題は…当日だが。
当日。
「A、準備は出来てるの?」
「出来てるよ」
私は早朝から神社へ。母さんはまだ家に居る。私の今日の仕事は盛り上げ役。自慢のカメラと自分で選んだ巫女服で、私は雛人形との撮影、皆だけ餅を食す。この村のルール、ちょっと変だよな。
「失礼します」
私はサシュレに一礼する。
「どうぞ、中へ」
言葉遣いはいつも通りだが、表情はルンルンだ。祭り好きの神だな。
数時間後。
「皆さん、写真撮りますよー」
カシャッ、とシャッター音が鳴る。上手くとれたようだ。
「お餅お餅ー!」
「ラピス、走っちゃダメ」
畳がギシギシ鳴る。
餅は、本宮の奥の部屋に置いてある。
「Aの作るお餅、美味しいよね」
そうかな、と私は首をかしげる。母さんにも言われたな、それ。
この光景が見られるのも12年後か。私はシャッターを切った。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪乃妃萌乃 | 作成日時:2020年12月22日 19時