第１章始まりの日 真っ黒事件９ ページ9
Ｓｉｄｅ ｏｆ Ｙｏｕ
伊野尾「――あ、違っ……今のは……」
『へ』
伊野尾「あ、じゃなくて今のも違くて…。あ゛ー」
その途端、あの滅多に表情を崩さない伊野尾君が
困ったように顔をゆがませた。
私は訳が分からなくて頭の上にハテナマークを何十個も浮かべた。
伊野尾君は口に手を当てて顔を青くしている。
今にも倒れそうだ。
『い、伊野尾君…？』
伊野尾「ごめん……気にしないで今の……」
そんなこと言ったらもっと気にします。
私はもっともっと深く眉間にシワを寄せた。
でもおかしいぞ。
さっき私は何もしゃべってないのに伊野尾君は否定した。
そこから伊野尾君は焦りだした。
そういえばこういうことが前にもよくあった。
言う前に何かものをとってくれたり、聞かなくてもつぎの授業は何か教えてくれたり。
こんなに気が利くひとに今まで出会ったことがない。
それとも私が分かりやすいだけなのかな？
墨がついてたって分かったとき、
そんなにすぐに表情に出してしまったのかな。
どうであっても、やっぱり伊野尾君はすごい人だ。
『伊野尾君、あの……』
伊野尾「ごめん、バイトあるから、帰るね」
『えっ』
引きとめようとしたけど、伊野尾君は足早に教室を去っていてしまった。
今までの感謝の気持ちを伝えようとしただけなのに、
伊野尾君はかなり動揺していて、途中で何回か机にぶつかっていた。
私は遠ざかる彼の足音を聞きながら、しばし呆然とそこに立ち尽くしていた。
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葵(プロフ) - えもえもさん» 原作とても好きなんです。頑張りますね！ (2016年3月15日 17時) (
レス) id: 7925a03430 (このIDを非表示/違反報告)
sakki-#(プロフ) - ファンタジー×伊野ちゃん！両方とも好きなのでワクワクドキドキが止まりません！更新楽しみにしてます。 (2016年3月15日 0時) (レス) id: baae662d61 (このIDを非表示/違反報告)
えもえも(プロフ) - この小説の原作大好きで持ってます!伊野尾ちゃんも好きなのでこの小説に出会えて嬉しいです!更新頑張ってください! (2016年3月14日 23時) (レス) id: 3668cb82df (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾咲樹 - 更新頑張ってくださいね！ (2016年3月14日 21時) (レス) id: c038746d7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2016年3月11日 20時
