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大 「ご挨拶が遅れてすみません。
Aさんとお付き合いさせてもらっています、」
「あぁ、それは別にいいんだ。自由にしててもらって。
で、要件は何かな？」
名乗ろうとしたものの、余程興味がないんだろうね。
Aにも、俺にも。
一応かたちだけ和やかに始めた会話は遮られて、
本題を急かされてしまった。
大「Aの病室に来てほしいんです。
会って、話してあげてください。」
それなら、と単刀直入に伝えた要件のせいか、
たった数秒でビリリと痛いほどの沈黙が流れる。
さっきと同じ冷たい目で
何も言わずコーヒーを飲む親父さんにやきもきして、
大「どうしてAをひとりぼっちにしてたんですか。」
Aに与えられた理不尽な孤独に納得がいかなくて、
俺の声はどんどん低く、隠しきれないほど怒気を帯びていった。
「あの子の母親が、あの子を産んだときに死んだのは聞いているね？」
大「はい。」
「君は自分の親や、それに等しいほど大切な人を亡くしたことはあるかい？」
大「…いいえ。」
「ならわからないだろう。
その存在がなくなったとき、遺された者がどんな思いをするのか。」
確かに俺ん家は両親もじいちゃんばあちゃんも元気で、
身近な人の死に直面するということは今までほとんどなかった。
だからどれほど痛いものなのか、
その孤独を今の俺が知ってるわけじゃないし、
それを推し量ろうとするのは無神経で傲慢なことだと思う。
だけど、この人が言うその苦しみを
Aは小さな頃から一人で背負ってきたわけで。
だったら尚更、どうして寄り添ってあげられなかったんだ、って。
お互い寄り添えば、親子二人なら、
悲しいのは少しずつ分け合えたんじゃないのかって…
膝の上で握りしめた拳にギリギリと爪が食い込んでいった。
「怒っているね。
だけどね、亡くなったのはあの子の母親だけど…
僕にとっては、お互い一生を約束した
何よりも誰よりも大切な女性だったんだよ。」
大「っ、」
そこから聞かされたのは、
本人すら知らないという Aが生まれる前の話。
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綾鷹(プロフ) - 1203さん» ありがとうございます(;_;)泣いて頂きたいお話を書いていたので本当にうれしいです！ (2020年5月5日 23時) (
レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - 美月さん» なんてうれしい…(´；ω；`)ありがとうございます！ (2020年5月5日 23時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - 綺星さん» 最後まで読んで下さってありがとうございます！これは私も書き終わった瞬間何かスッと燃え尽きた作品なのでそう言って頂けると嬉しいです！ありがとうございます！！ (2020年5月5日 23時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
1203 - めちゃくちゃ泣いてしまいました。素敵な作品ですね。 (2020年4月4日 15時) (レス) id: bea00c8748 (このIDを非表示/違反報告)
美月 - めちゃくちゃおもしろかったです。 とても感動しました。 (2020年3月27日 14時) (レス) id: 2c7dc2e191 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾鷹
| 作成日時：2019年8月11日 7時
