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延長線上 8 ページ8

お互いにこの間よりはしっかりとした足取りであった。しかしほろ酔い気分では、泥酔した時よりも判断を見誤ることもあるものだ。それは困るとのことで、買ってもらったハーゲンダッツを片手に公園で酔い覚ましをする。夜の公園ほど不気味でありながらも、好奇心をそそられるものはなかなかないだろう。童心に帰るようにジャングルジムのてっぺんに登る。しかし、子供の頃は見れなかった夜の景色は、嫌に不思議なものであった。

「食べるん、それ」
「溶けちゃう前に食べなきゃ」

コンビニでつけてもらったスプーンで、淡いピンク色をしたアイスをすくう。程良く溶けたアイスが、甘く甘く口内に広がる。いつもは嫌な甘みもハーゲンダッツに限ってはまるっきり別のものになる。

「なあ、美味いんか」
「そりゃもちろん、これだけは特別」

分からないとでも言いたげな目がこちらに向けられる。じっとアイスを見つめてくるので、「もしかして食べたいの?」と聞けばコネシマは、うーん、と数秒唸ってから躊躇いがちに「食う」と言った。

「でも口付けたやつやろ、気にせえへんの?」
「私回し飲みとか他人以上なら大丈夫だから...コネシマは?」
「大丈夫な奴とそうじゃない奴がおるん、Aは大丈夫やわ」

「そ」とだけ返す。私がコネシマの内の『大丈夫な奴』に入ってようとどうとも思わない、いや、思えないのだ。それはコネシマとて同じだろう。アイスをすくい、「ほら」とコネシマに差し出す。それを一口で食べて、コネシマは何とも言えない微妙を極めた顔をした。

「不味くはないねんけど、美味くもないなあ」
「はは、変なの」

まさに、何とも言えない、という言葉を顔に表したような表情に小さく笑いが零れる。

「俺さあ、Aのこと好きになれたらなってめっちゃ思うねんな」
「ええ?」
「正直、一番合う相手やと思う。けど、何やろな、そういう関係になるのは、モダモダすんねん」
「なんか、分かるかもしれない、それ」

モダモダする、その通りだ。想像がつかないというか、雲を手で掴もうとする感覚である。それが何なのかは大学生の頃から謎である。だがしかし、コネシマと恋人なんぞになりたいとは思わない。

「それもまあ、固定観念かもしれないけどね」
「そうかもなあ」

私が住宅街の向こうをぼんやりと見つめていると、「なあ」とコネシマが変にはっきりした声を出す。

「引かんでほしいんやけど」
「なに」
「キス、してみいひん?」

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まつ(プロフ) - 完結おめでとうございます!香さんの書く文章が本当に大好きです。次回作が最後になってしまうのは悲しいですが楽しみに待っています!お疲れ様でした!! (2018年8月26日 11時) (レス) id: cd163d6252 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 香さんのコネシマめっちゃ好きです。更新とても嬉しかったです!この先の展開も気になります!笑 (2017年12月26日 0時) (レス) id: 3e7c414859 (このIDを非表示/違反報告)
みいろ - 夢主ちゃんとコネシマの絡みが好きすぎて禿げそうです…更新頑張ってください! (2017年4月27日 23時) (レス) id: 538187bfc9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年4月20日 23時

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