延長線上 31 ページ31
日曜日だからって小綺麗な格好して。社会人になってからは私服を見ることはなかったが、大学生の頃なんて中学生の延長みたいな格好をしていたくせに。髪もちゃんとしてて、あのいつもの居酒屋でのだらしないコネシマはどこに行ったんだと問いただしたくなるような様であった。あれが『女の子』に対するコネシマなのかと、酔っていた中でさえ思ったことをハッキリと思い出してしまった。
「いい加減にしてって、こっちのセリフだよ！私の話聞かないくせに！」
私が大きな声を張り上げた所でコネシマはようやく止まる。知らぬ内に、早朝は人の少ない喫煙所まで来たのだから相当歩いたようだ。喫煙所から漏れる臭いに鼻がツンとして、それがコネシマの部屋で微かに感じた煙草の臭いに似てて、泣きそうになる。慌てて下を向いた。
「先輩とは何もないし、それは小籠さんにコネシマの話したから...」
そこまで言って顔を上げれば、涙目の私にギョッとしたのかコネシマはどうしていいか分からない様子だ。そして何か思い当たることがあるのか「あいつ、ほんま殺す...」と呟いて、髪を無造作に掻く。
「それ俺めっちゃ恥ずいやつやん....」
「あと、昨日女の子と歩いてたくせに！」
「え、見てたんか」
「私のこと好きなら、他の女の子と夜に2人で一緒にいないでよ」
そう言えば、コネシマは鳩が豆鉄砲をくらったように、私を見つめる。だんだん自分の言ったことに羞恥心が湧き上がり、それまでじっとコネシマを見てた目線を思わず逸らす。すると「へへ」と気の抜けるような声が降ってきた。
「何笑って...」
「だって何か、それ嫉妬してるみたいやわ」
緊張感の無いコネシマがあまりにも間抜けに見えて、またこうしてからかわれて何も言えないままなのかと思うと、やりきれない。私はヤケになってコネシマのワイシャツの胸元を掴む。
「そうだよ嫉妬だよ、もう何が何だか分からないけど、私はコネシマの1番じゃないと嫌みたいなの！」
コネシマの反応が怖くて顔を見れずにいると、その表情を見る前にギュッと抱き締められた。突然のことにびっくりするも、同じようにしかし控えめにコネシマの背中に腕を回せば、抱き締める力が強くなった。首元に髪があたってくすぐったい。「知ってた？」と低いトーンの声が近くて胸の鼓動が早まる。
「そういうの、好きって言うんやで」
耳元で囁かれる。一気に顔に熱が集まるのを感じた。「...知らなかった」と言えば「ほんと素直やないな」とコネシマが笑う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 551人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まつ(プロフ) - 完結おめでとうございます！香さんの書く文章が本当に大好きです。次回作が最後になってしまうのは悲しいですが楽しみに待っています！お疲れ様でした！！ (2018年8月26日 11時) (
レス) id: cd163d6252 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 香さんのコネシマめっちゃ好きです。更新とても嬉しかったです！この先の展開も気になります！笑 (2017年12月26日 0時) (レス) id: 3e7c414859 (このIDを非表示/違反報告)
みいろ - 夢主ちゃんとコネシマの絡みが好きすぎて禿げそうです…更新頑張ってください! (2017年4月27日 23時) (レス) id: 538187bfc9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：香 | 作成日時：2017年4月20日 23時
