延長線上 25 ページ25
「A大丈夫?」
「大丈夫なんかじゃない....」
恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだ。昨夜も駄々をこねるなんてみっともない姿を見せてるし、寝てる間に着替えさせられた上に今は髪もボサボサですっぴんだ。いくらコネシマとはいえ、平常心じゃいられない。
「もしかして恥ずかしがってるん?」
「聞くなばか」
そう言うと頬に両手を添えられ、くいっと上、というかコネシマの方を向かされる。「にゃにすんのっ」と舌の回らない口で言えばコネシマは目を細めて笑う。
「ほんと、かわいい」
「な、なに言って」
「俺の横で素直に寝ちゃうのも、起きてから焦るのも、減らず口叩くのも、俺のだぼだぼのスウェット着てんのも、照れてるのも、全部かわいい」
だいすき、と蕩けた顔で甘い声で言うものだから、どうしていいか分からない。いつものコネシマとギャップが強すぎて、逆にこいつ彼女の前だとこんなのになるのかと思うと、以前にもこんな一面をだれかに見せてたのだろうかと思うと、モヤモヤする。
カーテンの隙間からは朝日が差し込んでいるが、部屋は薄暗い。そんな中でもはっきり見えるコネシマの表情が目に毒だった。
「なあ、何で逃げ出してええよって言った時すぐ逃げ出さなかったん?」
「それは、その」
「今だって結局ベッド上やん、そういうの、なあ」
「ち、違う!もーーほんとそんなんじゃないって......」
逃げなかったのは、逃げなかったのは何でだろう。少しでも惜しいと思ってしまった。知らないコネシマを見れる時間を、いつもの悪態をつく関係に戻ってしまうことが。けれど、今いるコネシマは同僚でも友人でもなく....そのことがまだ受け止めきれていない。どうしていいか分からず、威勢良く反論したのも束の間、情けなくも涙目でシーツをぎゅっと握る。
「ごめんて、確かに意地悪やったかもな」
慌てたように頭をぽんぽんと撫でられる。優しい声色にホッとすると、コネシマは私を見つめて「かわいくて、つい」と付け加えた。
「ほんと、躊躇なく言うようになったね...」
「まあここまできたら全面的に伝えていこうかと思うてなあ」
「そんなんこっちが持たない...」
そう言えば「早めに折れてもええんやで」とコネシマが悪戯っぽく笑う。私にとってもまだ折り合いのつかない所がある。まだまだ、延長戦だ。
*
お久しぶりです。半年以上空けて戻ってきました。お気に入り数が144ととんでもないことになっていて感謝と驚きです。またぼちぼち書きます。
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まつ(プロフ) - 完結おめでとうございます!香さんの書く文章が本当に大好きです。次回作が最後になってしまうのは悲しいですが楽しみに待っています!お疲れ様でした!! (2018年8月26日 11時) (レス) id: cd163d6252 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 香さんのコネシマめっちゃ好きです。更新とても嬉しかったです!この先の展開も気になります!笑 (2017年12月26日 0時) (レス) id: 3e7c414859 (このIDを非表示/違反報告)
みいろ - 夢主ちゃんとコネシマの絡みが好きすぎて禿げそうです…更新頑張ってください! (2017年4月27日 23時) (レス) id: 538187bfc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:香 | 作成日時:2017年4月20日 23時