延長線上 23 ページ23
目を覚ますとまだ暗かった。覚醒しない頭を使ってみるも状況が全く分からない。私は暗闇に慣れてきた目で周りを見回す。馴染みのある自分の部屋ではなかった。何か柔らかいものが手にあたる。人の髪の毛であると判断するのに時間はかからなかった。しかし問題はこれが誰なのかということだ。全く持って思い当たらない。かれこれ自分は何年も恋人などいなかったのだから。
「....コネシマ!?」
いきなり大声を上げれば、隣で寝ていた影が揺れる。恐る恐る見ればその人物は紛うことなくコネシマであった。
「何なん、うるっさいわあ....」
「そうじゃなくて!何で!何で?!」
「ちょっと待てや....何やねん、そんな取り乱して」
怠そうに上半身だけ起き上がるとコネシマはラフなシャツに着替えていた。自分はと慌てて確認すれば、スウェットを着せられていた。寝惚けた頭でもわかる。絶対に私の服ではない。
「あ、言うとくけど何もしてへんからな」
「じゃあ何で着替えて...」
「そりゃシャツ皺になるやん。安心してええよ、Aワイシャツの中に肌着みたいなん着てたし」
「し、下は」
「俺のスウェットで全部隠れたから、もうええわって思ってスポーンと」
「なっ.....?!」
「んな顔するなや!見てないから!全く!」
信用できるのかどうか危うい弁解に羞恥心がどんどん上がっていく。何でこんなことに。大体、添い寝をしといて何もないってのも何なのか。しかし、事後特有の倦怠感もない。私は本当にコネシマと寝ていただけなのか。かといって、その経緯が全く思い付かない。
「事の発端はお前やからな。帰りたくないーって」
そう言われてハッとする。ぼんやりとした記憶ではあるが、酔った自分を覚えていた。蘇ってくる記憶に頭を抱えているとコネシマはそれが面白可笑しいようで口元の笑いを隠しきれないでいる。
「もう、何でこんな...!」
「随分な言いようやなあ。俺がどんな気持ちでその時のAに接してたと思ってるん?」
「...何か、ごめん」
素直に謝ればコネシマはバツが悪そうに、別にええけど、と返した。すると急に視界が反転して、起き上がっていたのが、コネシマの胸にすっぽりと収まる。急なことに何も言えずにいると、コネシマは足を割り込ませ、絡める。
「ちょ、コネシマ」
「反省の気持ちあるなら少しくらいええやん」
「そ、そういうのは良くない」
「じゃあ逃げればええよ」
コネシマは腕を緩める。確かに逃げ出そうと思えば簡単だ。
「ほら、どーぞ」
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まつ(プロフ) - 完結おめでとうございます!香さんの書く文章が本当に大好きです。次回作が最後になってしまうのは悲しいですが楽しみに待っています!お疲れ様でした!! (2018年8月26日 11時) (レス) id: cd163d6252 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 香さんのコネシマめっちゃ好きです。更新とても嬉しかったです!この先の展開も気になります!笑 (2017年12月26日 0時) (レス) id: 3e7c414859 (このIDを非表示/違反報告)
みいろ - 夢主ちゃんとコネシマの絡みが好きすぎて禿げそうです…更新頑張ってください! (2017年4月27日 23時) (レス) id: 538187bfc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:香 | 作成日時:2017年4月20日 23時