俺だって ページ42
一郎side
「痛いわね女に手上げるなんてあんたどうかしてるわよ!」
「は!?手上げてねぇし女以前にアンタどこをどう見ても無理矢理家に入ろうとしてた不審者だろうが!警察に連絡してやる!」
「ちょっ、ちょっと待て二郎、落ち着け」
「そんなことどうでもいいのよ!で!?あんた、Aのこと知ってんのよね!」
……すっげぇなこの人。話が通じないっていうか、話が出来ない。
……って、やばい!二郎は素直な子だから嘘が付けない。Aに関して今俺はシラを切ってるから、ここで二郎にバラされたら……!
「あぁ?A?知らねーよ、誰だよ。おばさんなんか間違えてんじゃねーの?」
「おばっ……!……っ、知らないはずないわよ、ここに出入りしてたことはちゃんと分かってんだから!」
「ウチは萬屋だぜ?誰でも何度でも出入りしてるし、まあ仮にそうだとして、その様子じゃおばさんからそのAって人は逃げたってことでしょ?おばさんが嫌で嫌でたまらなかったんじゃねーの?つか、これ以上なんかすんならマジで迷惑だし通報すっからな」
「……、」
二郎は淡々と煩わしそうな顔をしながら話す。
俺は驚きのあまり思わず呆けてしまった。
Aの母親は顔を真っ赤にし、そのまま去って行った。
二郎は玄関の扉を閉める。
すると大きな溜息を吐いた。
「はー!びっくりした!兄ちゃん大丈夫?どこか怪我してない?」
「あ、ああ……。それにしても二郎、お前すげぇな、よくAのお袋さん追い払えたな」
「あーやっぱりAの母親なんだねあの人。実は三郎にさー、もしAについて何か言ってくるような奴がいたらしらばっくれて、追い払えって言われててさ」
「そ、うなのか。それにしても上手く追い払えたな。……ん?何で三郎はAについて知らないフリをしろなんて言ったんだ……」
「さあ?つーか俺財布忘れたから帰ってきたんだった!取ってくるね!兄ちゃんごめんよ、ちょっと待ってて!」
二郎は靴を脱ぎ捨てて部屋へと走って行く。
なんだかどっと疲れた。
このこと、Aに知らせた方がいいよな……?
Aに危険が及ぶかもなんて考えたくないし。
「お待たせ!兄ちゃん!行こう!」
「……あぁ。財布なんて、俺が払うからいらねーのに」
「だめ!」
二郎と共に家を出る。
……Aが今どこにいるかなんて俺だって知りたい。
あとで三郎になんで知らないフリをしろって言ったのか聞こう。
128人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海老天ぷら - おと姫と愉快なサカナたちさん» ありがとうございます!嬉しいですっ!不定期更新ですが、がんばります! (2021年12月10日 19時) (レス) @page35 id: 8ac8a7e5a1 (このIDを非表示/違反報告)
おと姫と愉快なサカナたち(プロフ) - すごく引き込まれます…更新頑張ってください!! (2021年11月9日 7時) (レス) @page34 id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海老天ぷら | 作成日時:2021年1月28日 10時