捨てられていた ページ3
時間になったのでバイトを上がり、宮本にお疲れ様でしたと言って外に出る。
横断歩道を渡って私は明け方の街を歩く。
朝日に照らされて、私の脱色した髪の毛がキラキラ輝く。
根元が情けなく伸びたプリン頭は当初私の反抗心から出来たものだった。
母親は厳格な人で私は母親が敷いたレールに沿って歩いていた。そんな母親のコンプレックスは学歴で、自分の学歴を超えようとする子供を嫌がった。
しかし私は仕返しだと言わんばかりに大学に進学した。奨学金を借りてバイトを詰め込んで学費を捻出した。
母親が見た目だけで判断した不良になるべく、髪も脱色した。あてつけだった。
お前の子供はお前が批判したような人間になったぞと。
まあ、無駄だったけど。私は今も実家暮らし。母親から逃げられていない。月何万と家に入れなくてはいけないが、その金額が高い。
到底大学生が毎月出せる金額ではない。しかし私は出した。出さないと大学を辞めなくてはいけないから。そういう約束をして、私は大学進学を許された。
若者の街と言われる渋谷も早朝は静かだ。
路地の奥の方で音がした。男の声だった。こういうことはないことはない。だから私は無視した。
「なぁ〜お前〜……そこのお前、なんか食うもん持ってねぇかぁ〜?おーい」
私は周りを見渡す。しかしここに私以外には人はいない。
男が呼びかけているのが私であると嫌でも感じてしまった。
そうはいっても、私は帰って母親の食事の支度をしなくてはいけない。こいつに構っている暇はないのだ。
「おいぃぃ……!ご慈悲をー!おろろ〜」
私は仕方なく路地に向かう。
そこに居たのは身ぐるみ剥がされた青い長い髪の男。ゴミ捨て場に捨てられていた。
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海老天ぷら - おと姫と愉快なサカナたちさん» ありがとうございます!嬉しいですっ!不定期更新ですが、がんばります! (2021年12月10日 19時) (レス) @page35 id: 8ac8a7e5a1 (このIDを非表示/違反報告)
おと姫と愉快なサカナたち(プロフ) - すごく引き込まれます…更新頑張ってください!! (2021年11月9日 7時) (レス) @page34 id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海老天ぷら | 作成日時:2021年1月28日 10時