ヒモ感 ページ11
温もりを感じた。それは安心できるような体温だった……しかし少し暑すぎるくらい。
目を開けると横には帝統が眠っていた。
私は起き上がって辺りを見回す。知らない場所だった。布団は昔ながらの重い布団。家にあるあの布団に少し似ている。
再び布団に戻る。懐かしさを覚えた。
昔まだ父がいた頃、私が熱を出せば苦しそうに息をする私の頭を父は撫でた。
……あの頃のぬくもりはもう感じることは出来ない。
「……ん?A起きたのか?」
帝統は目を開け私の姿を捉えると嬉しそうに笑った。
「よかった、もう元気そうだな」
「ごめん、私……」
私が言い終わる前に帝統は起き上がって台所に行った。
「おっ幻太郎お粥作ってくれてあるぜ!アイツ何だかんだ言ってAのこと心配だったんだなー」
帝統はお粥をお皿に移して、ほら食いなと私の前に差し出す。
私はおずおずとそれを口にする。
それは、懐かしい味がした。
「美味し……」
「良かったな。後で幻太郎に礼言っとかねーと」
まるで、母が作ってくれた粥のような味。行儀は良くないが口の中で転がしながら食べた。
「あの幻太郎さん?はどこに……」
「ああ、何か今日は家を空ける予定があるみたいなんだよなぁ。だからAも好きなだけ居ていいぜ。俺はそのつもり」
「はぁ……」
何となく感じていた帝統のヒモ感に呆れながら私は粥を食べ進める。本当に美味しい。
帝統と行ったファミレスの帰り道でFlingPosseについて調べた。私は正直FlingPosseについて全く知らなかったが、 調べれば調べるほど興味が湧くものだった。
個性的なメンバー。彼らが渋谷代表なのも頷けた。
お粥を食べ終わり私はシンクを借りて洗い物をしようとした。
すると帝統がやって来て、病人は寝てろと私から皿を取上げて洗ってくれた。
再度布団に戻った私。
あとで幻太郎さんにお礼を言わなきゃ。でもいつまでもここに長居している訳には……。
そのまま眠ってしまった。
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海老天ぷら - おと姫と愉快なサカナたちさん» ありがとうございます!嬉しいですっ!不定期更新ですが、がんばります! (2021年12月10日 19時) (レス) @page35 id: 8ac8a7e5a1 (このIDを非表示/違反報告)
おと姫と愉快なサカナたち(プロフ) - すごく引き込まれます…更新頑張ってください!! (2021年11月9日 7時) (レス) @page34 id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海老天ぷら | 作成日時:2021年1月28日 10時