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トランプ…解決できてよかったわ。
さぁ、次に進みましょう。
さらに暗くなってきてさすがに心細いので、黄色の蝶に術式を唱えて明かりを灯した。
この蝶も…もう誰の心なのかわからないわ。
まぁ第一…お客様の名前なんて覚えないのだけど。
光がもつ時間も少ないし…早く行きましょう。
「急がなくてもいいのよ?わたしと遊んでくれるって言ったのはあなたでしょう?」
突然声が聞こえた。
振り返ると、レイダーテがそこにいた。
「…何の用かしら。」
「やっぱりわたしも守り人だから、あなたたちをここで始末しなくちゃいけなくて。分断して1人ずつ…殺さないと。」
……。
やっぱり殺すのね…。
「…レイダーテ。今度は何して遊ぶの?」
「あら…その気でいてくれてるの?嬉しいわ。そうね。マジックでもしましょう。少し行くと、広いところに出るわ。それまで、お話しながら一緒に行かない?」
え…。
「いいけど…不意討ちは無しよ。」
「分かってるわ、安心して。」
レイダーテは私の手を掴むとそっち、と指した。
「ねぇ。あなたたちはどうしてここを守っているの?ヒユリは神様の心を守るためって言っていたのだけど…。」
レイダーテはため息をついた。
見た目のわりに精神年齢は上なのかしら…。
「ヒユリったら、余計なこと教えちゃったのね。…そうよ。ここの一番奥に住んでいる神様の心。アプリコットの蝶。」
「…私たちは、そのアプリコットの蝶を探しに来たの。」
「大切な人を亡くしたの?」
あぁ…やっぱり、知ってるのね。
「そうよ。私も、エリスも。誰かには変えられない大切な人を、甦らせたくて。それで探しているの。神様の心を…“アプリコットの礎”を。」
心は人を動かす元、つまり礎。
それを探して…。
「…ここまで、来たのよ。」
くすくす、と笑われたことに少し腹がたった。
「そうなのね。…さぁ、ここよ。」
彼女が指を鳴らすと燭台に火が灯った。
…いよいよね。
ここで生死が決まってもおかしくないわ。
…気を引きしめて行きましょう。
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作者名:円香 | 作成日時:2018年8月7日 16時