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単独での呪術実習を終えて高専に戻ると真希と転校生の姿はまだない
「真希と転校生は?」
「司お疲れさん、2人は病院だ」
「あっそ」
「オマエさ…聞いておいてそれはない」
「それより棘どこ」
教室の戸を開ければそこにはパンダしか見当たらず、それを無視して棘の姿を探す
そんな司の様子にパンダは呆れた眼差しを向ける
「帰り薬局寄るつってたから、そろそろ戻るだろ」
まだ帰っていない理由を知った司は、迎えに行くと言い残して教室から去った
「やっぱり人間って気持ち悪いな」
パンダの呟きは誰にも届かない廊下に木霊した
……
…
……
校門近くの石階段でボーッと座りながら空を見上げる
棘まだかなー…あ、あの雲パンダに似てる
「こんぶ」
声に反応してそちらを向くと、待っていた事に驚いた顔をする棘
「お疲れ様、怪我はない?」
立ち上がればその足で寮の方へと向きを変える
突然棘が立ち止まったと思えば、紙袋を僕へと差し出した
「?開けていいの」
「しゃけ」
コクリと頷かれたので紙袋を開けるとふわり甘い香りが漂う
中を覗けば数種類のドーナツが並んでいる、ドーナツは司の好物だ
僕の顔を見ると、棘はまるで悪戯が成功した子どもみたいな笑みを浮かべる
「もしかしてわざわざ買ってきてくれた?」
そうと聞くと棘は途端に目を逸らした
「…おかか」
わかりやすい嘘に思わず口元が緩んでいく
「ありがとう」
紙袋を手に持ったまま抱き付けば、僕よりも小柄な棘はフラついたけどちゃんと受け止めてくれる
「しゃけ」
空いている手でサラリとした髪の毛に指を通して後頭部を撫でる
つむじ辺りへバレないようにソッと口付けた
「…すじこ?」
「ん?何でもないよ」
何ごともないように微笑んでドーナツ楽しみと言えば、棘もその気になったのか言及されずに済んだ
今度こそ寮への道を並んで歩いた
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新(プロフ) - 雪見だいふくさん» 雪見だいふく様コメントありがとうございます。作品へ好感を持ってくださり私自身もとても嬉しいです。実は先日、貴方様の作品を拝見しておりました。まだ六本木のくだりまでしか読めていなので、この後ゆっくり読みます!雪見だいふく様の作品の更新も心待ちにしてます (2020年12月4日 21時) (レス) id: 683216893f (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - 初めまして、いつも楽しく読ませていただいております。とても素敵で引き込まれる作品でとても大好きです!お身体に気をつけて新様のペースで更新頑張ってください (2020年12月4日 14時) (レス) id: 3dc274e14b (このIDを非表示/違反報告)
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