夏油が自分のことを好きだと気が付いたので挑発したら痛い目にあった話

10話 ページ10

A「ひぇ…」

「逃げないでくれ、逃げられると興奮してしまう」

A「ゴメンナサイ…」



しばらくの沈黙の後、最初に口を開いたのは夏油だった。




「君は私のことを面白そうだから挑発していただけなのか？」

A「え、いや」


「本当のことを言ってほしい、面白そうだからという理由ならもう君の事を諦める。いままで悪かった」



傷ついたようにそう言う夏油に「違う！」と気がつくと叫んでいた。

夏油の顔を真っ直ぐ見つめ私は言葉を続ける。





A「私は好きでもない男を挑発するほど尻軽じゃないし、暇でもない、ここまで言ってもわからない？」



私の言葉に夏油は目を見開くと、「ううん、ありがとう」と微笑むと私を優しく抱きしめる。

私もそれに応えるように抱きしめ返す。





「ところで、あの男の紙は捨てたよね？」

A「捨てた！捨てた！だからそんな怖い声出すな！！」



地を這うような低い声でそんな事を言う物だから、ついつい慌てて返事をしてしまった。


案外、嫉妬深い男なんだな。

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