夏油が自分のことを好きだと気が付いたので挑発したら痛い目にあった話

5話 ページ5

A「意外と手こずったね〜」

「そうだね、怪我は？大丈夫？」





「ふ〜」と汗を拭う私を心配そうに見つめる夏油に「大丈夫」と返事を返す。

さて、帰るかとなったその時「あのっ」と後ろから声をかけられる。





「その、ありがとうございました。助けていただいて…」

A「あ、忘れてた。いえいえ、大丈夫ですよ」




私に話しかけてきた男は運悪くこの建物に入ったところを呪霊に襲われたそうだ。

まぁ、勝手に入る方も悪いのだが。





A「もう、危ないところには近づかないように、それじゃぁこれで」





身を翻し、再び帰ろうとした時後ろから腕を掴まれる、何事かと「なに？」と少し睨むと「これ」と一枚の紙を渡される。




A「え、なにこれ？」

「俺の連絡先です、その、一目惚れしました！よかったら連絡ください！」



それだけ言うと男は私たちに一礼をして帰っていった。




A「えぇ、まじか」




何か言うよりも先にそそくさと行ってしまった男の後ろ姿を眺めて唖然としている私の肩をポンっと叩かれる。




「A、帰ろうか」

A「え、あぁ、そうだね、帰ろっか」






好きな人が他の男に目の前で言い寄られていたと言うのに、表情ひとつ変えない夏油に少し違和感を感じだが、あまり嫉妬はしない男なのかもしれないな、と思い、そのまま夏油と高専へと帰った。

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