35.後日 ページ37
saidA
やってしまった…入試は確実に落ちている。確信がある。
巨大仮想敵を倒すのに時間を費やしてしまったし、その分ポイントを稼げなかった。
雄英に行けないとなると滑り止めとして受けたレベルの低い私立のヒーロー科に行くことになる。それだけは避けたいのだが、落ちては仕方が無い。
うじうじ考えていても結果はもう変わらないと思い、外に出ることにした。
そう言えば今日で入試から１週間だっただろうか。結果が来るとしたらもう時期だろう。
お気に入りのスニーカーを履いて外に出ると、海の匂いがした。
辺りはもう真っ暗で、自分の息だけが白く目立っている。
ふと、ポストの中の郵便物に目を留めた。
雄英高等学校
確かにそう書かれている。
そうか、結果は手紙で来るのか。
入試の時に説明をきちんと聞いておけば良かったと後悔した。
外に行くのはやめ、スニーカーをしまい、
静かなリビングの電気を付けて、封筒を前にして椅子に腰掛けた。
長い沈黙が続く。
諦めているはずなのに、希望を捨てきれない。
もし受かってたら、とかそんな複雑な気持ちが胃の中でグルグルしているような感覚に陥った。
じっと封筒を眺めていたせいで、いきなりの着信に驚く。おずおずと出てみると、知った声が聞こえた。
｢どうだった｣
主語もなしに唐突に話を出してくる、流石だ。
『どうも何も、怖くて結果が開けられないよ』
電話の相手は轟だ。
勝己や出久には言えない、怖い、という単語一つすら何も考えずにさらっと出てくる。
やはり心地が良い。
｢俺が開けてやるか？｣
『結構です』
冗談で緊張を解してくれようとしたのか、はたまた本気で言っているのか、彼の言葉に思わず笑ってしまった。
｢まぁ、分かんねぇけど大丈夫な気がする｣
『なんかそんな気もしてきた』
しばらくしてまた笑ってから電話を切った。
いつまでもグダグダしてやれない。
『ていっ』
思いっきり封筒を破ったのであった。
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筍(プロフ) - 波瑠さん» ありがとうございます (2019年3月21日 1時) (
レス) id: 1e3fb893f2 (このIDを非表示/違反報告)
波瑠(プロフ) - 18席と推薦に２席で２０人 (2019年3月1日 19時) (レス) id: 977f6c68bb (このIDを非表示/違反報告)
筍(プロフ) - ロムさん» 楽しんでいただけて幸いです (2017年7月12日 0時) (レス) id: 515ac75390 (このIDを非表示/違反報告)
ロム - 作者様の小説のおかげです。ありがとうございます！ (2017年7月9日 19時) (レス) id: 693a45f20e (このIDを非表示/違反報告)
ロム - ああっ！更新されてる！とパソコンの前で叫んだ私は、今日も正常に動いています。 (2017年7月9日 19時) (レス) id: 693a45f20e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：筍 | 作成日時：2017年6月19日 1時
