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跳んだ瞬間に大きく横転した列車は転がるように地面へ叩きつけられる。
安全な場所に着地し、二人を地面に下ろした。
駅員はいつの間にか気絶したみたい。
「大丈夫か!三太郎!!
しっかりしろ!腹大丈夫か刺された腹は!!
「大…丈夫だ。伊之助と姉さんは………」元気いっぱいだ!風邪も引いてねぇ」
心配してるのは分かるけどね。揺らすのは止めようか。
『猪くん。とりあえず落ち着いて』
「ひょっ!」
声をかけても鼻息荒く興奮冷めやまない猪くん。とりあえず笑みを向けたら怯えられた。
何故だ。
いきなり手離したから炭治郎が地面に叩きつけられてうめいてる。
ちょっ!何してんの猪このやろー!
炭治郎が猪くんに何か頼んでいる。
猪くんは渋々言うことを聞いて駆けて行った。
なんか毛をむしるとか言ってなかった?
忙しい子だな、もう……
っと今はそれどころじゃない。
ボクは慌てて炭治郎に駆け寄った。
『炭治郎、傷診るね』
包帯が無いから隊服の裾を裂き患部に当てて圧迫する。
「……姉さんは、怪我…無い?」
処置中も人の心配をしてくる弟に、変わらないなと懐かしさが込み上げてくる。
『無いよ。だから今は自分の心配をして』
ボクが無傷と聞くと安心したように笑う弟。
怪我をしているのはキミの方なのに……。
やり切れない思いが胸の奥をモヤモヤとさせた。
……にしても血が止まらないな。
ここは炭治郎にも少し手伝ってもらわなきゃいけないね。
『炭治郎、全集中の呼吸は出来る?』
ボクの問いかけに小さく頷く。
よし、ならいけるはず。
『その集中を刺された部分に集結させて。
そうすれば出血が止まるから』
これはある人に教えてもらったものだ。
ボクがまだ呼吸の訓練をしていた時に。
炭治郎の額に指を置いて
集中、と指示する。
「くっ!」
ボクの指示に従って患部へ集中する炭治郎。
そのおかげで少しづつ出血が遅くなってきた。
やっぱり炭治郎はすごい子だよ。
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