弐 ページ10
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そんな中でも鬼の猛攻撃は止まない。
目を回して動けないボクを守るように戦う炭治郎はその場から動けない。
そんなボクらを守るように猪くんがたち振舞ってくれている。
「伊之助!ごめん!」
「子分を守るのが親分だ!」
親分?子分?よく分からんが自分が足手まといなのは分かる。
この不況を打破する一手。
ボクは懐からある物を出して
立ちはだかる無数の手に向かって投げた。
パリン
中から赤い液体が零れ鬼の手にかかる。
すると
《 ギャァァァ!! 》
叫び声が地響きとなって空気を揺らす。
無数の手ももがくようにうねり溶けていく。
『今だ二人とも!』
ボクの叱咤にハッとした二人はこれを好機にと駆け出した。
「伊之助!この真下が鬼の頸だ!」
「命令すんじゃねぇ!親分はおれだ!!」
「わかった!」
なんだろう、あれで意思疎通取れてる炭治郎すごいな。成長したんだなぁ。
場違いにも
猪くんが床を切り裂く。
現れたのは巨大な頸の骨。
二人の息を飲む音が聞こえた。……ッ!まずい!
一瞬動きを止めた二人に背後から錐を持って忍び寄る駅員の姿が。
既に猪くんの真後ろにいる。
『ッ猪く「伊之助!!」!』
炭治郎は彼を庇うように脇腹を刺された。
その光景に、ボクの頭の痛みがプツンと消える。
「炭治『何 人の弟に手ぇ出してんの』ッ!?」
駅員と炭治郎の間に入り刀を駅員の首に当てた。
「ひぃっ!!」
「ねぇさッ…やめてくれ」
俺は大丈夫だから。そう無理して笑う炭治郎にボクの登りかけていた血が下がるのを感じた。
『わかった』
「ありがとう。……伊之助!」
「命令すんな!」
と言いつつも猪くんは塞がった床を再度切り裂く骨を顕にさせる。
そして、
ヒノカミ神楽
碧羅の天!!
火車のように炎を纏って回転斬りを入れ見事 鬼の頸を斬った。
ギャァァァァァァァァァ!!!!!
鬼の断末魔とともに一際大きな揺れが襲う。
瞬間
列車自体が大きく跳ねた。線路から大きく外れている、脱線だ。
「頸を斬られてのたうち回ってやがる!やべぇぞ!!」
「横転する!姉さん、伊之助─ッ」
炭治郎が腹部を抑えて痛みに身をよじる。
「お──前 腹 大丈夫か!?」
「乗客を守──!!『そのままお腹抑えてて』……ぇ」
このまま落下したらみんなひとたまりもないからね。
ボクは炭治郎と猪くんを両脇に抱え、ついでに駅員を引っ掴んで列車から大きく飛躍し離れた。
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