期間限定の恋人ごっこ【桃】

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｢おいちぃ〜！！｣

｢ふふ、それは良かった。その笑顔見れたら作ったかいがあったよ｣




ハンバーグを作る間、ずっと傍から離れないからコネたり形を整えたりするのは大ちゃんにやってもらった。






｢みて〜ハート〜｣

｢それ大ちゃんのね｣

｢ええ、Aねぇにあげたいのに〜｣




佐久間のハート受け取ってとか言ってペロッと舌を出すなんて、さすがアイドルさま。


ハンバーグを焼いている間にサラダを簡単に作ろうと思って、｢焦げないか見ててね｣ とお願いしたら、



｢あのぉ、そろそろひっくり返さないと焦げるよ｣

｢え、だって見ててって言ったじゃん｣




て、真顔で言われた時は、この子大丈夫かなって心配になった。




｢焦げないか見ててって言ったでしょ？｣

｢見てたよ。こうやって｣

｢うん、もういい｣



それじゃあ ただ見てるだけなの！




なんとか焦げずに焼き上げて、ちょうどご飯も炊けたからお皿に盛り付けをしてテーブルに運んでもらって今到る。






｢うん、ご飯も美味しい｣

｢俺ねお米は炊けるのよ！｣

｢料理も覚えた方がいいね。おばさん心配しちゃうよ｣

｢…そのうちねぇ｣




やる気ないなこれは。

でも男の人はそんなものかな。




｢Aねぇ、｣

｢なあに？｣

｢また作ってね？｣

｢はいはい｣




もうお姉ちゃんというより、母親の気分だ。







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｢洗い物はしておくから、Aねぇ先にお風呂入ってよ｣

｢いいの？ あ、明日着ていく服はあるんだけど寝巻き買うの忘れた｣





ちょうど今日着ようと思って会社に持って行ってた服を明日着ていくことにしてたけど、下着だけ買って寝巻きを忘れた。


どうしよかな〜と、思ってたらキッチンの方から ｢俺ので良かったら貸すよ〜｣ て。






｢風呂入ってる時に持っていくから入ってて〜｣




今手が離せないからって。


分かったと返事して、教えてもらったお風呂場へ。





｢……ふう、｣



なんか変な感じだなぁ。

幼なじみとはいえ、１７年も会っていなかった男の子の家でお風呂に入ってるなんて。


まだ再会して、顔を合わせるのは3回目なのに。





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