期間限定の恋人ごっこ【桃】

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シャワーだけ軽く浴びて、お肌のお手入れもちゃんとして髪を乾かしてっと。


シャワーを浴びるより、上がってからの方がやることが多くなったな。



洗面所を出れば直ぐにキッチンで冷蔵庫から冷えたミネラルウォーターを取り出して半分ほど一気飲み。






｢大ちゃん、起きてる？｣





部屋に戻ってみると、ベッドの上で丸くなって眠ってる大ちゃんが居て、やっぱり寝ちゃったかって。


今日もお稽古とか言ってたし、久しぶりに懐かしい話をしてたら時間も忘れてついつい楽しんでしまったから。



時計を見れば深夜１時。






｢そりゃあ眠いよね｣




すやすやと眠る大ちゃんの顔にかかった前髪を指で掬った。


長い睫毛に通った鼻筋、寝ていても上がってる口角。





｢可愛いなぁ｣



昔から変わらない寝顔。

またこうして可愛い寝顔が見られるなんて思ってもみなかったから、嬉しくてよしよしって頭を撫でてしまう。





｢……う、うーん、｣

｢っわ！！｣





寝る子を起こすような真似をしたからだろうか？



ベッドに腰掛けて 大ちゃんの頭を撫でていたはずが、今 私の視界には皺が寄った可愛い女の子が居る。






｢……えっと、｣





これはつまり、私、大ちゃんの腕の中？




がっしりとホールドされた身体はビクともしなくて、辛うじて動く頭を動かすと大ちゃんの唇がチラついて、咄嗟に視線を下げた。




………っ、




ど、どうしよう？


いやどうもしなくていいのか？



もともと一緒に寝るしかなかったわけだし、抱きしめられてるのは想定外だけど、あ、もしかして大ちゃんは未だに抱き枕がないと寝れないのかも！


そうだそうだ！


私のこと抱き枕だと思ってるのね？


よし、だったら 私は抱き枕とかそうじゃないの。



寝よう。寝てしまえばいい。





｢あ、布団……｣





布団かけないと風邪ひかないかな？


一応暖房はきいてるけど、でもどちらにせよ今の私は身動きとれないのでどうすることもできない。






｢大ちゃん、おやすみ…｣






昔と立場の変わった寝方に少しだけ緊張しつつ、眠気には勝てなかった私はあっさりと眠りについた。








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