君と、恋の話がしたい。 (ページ10)

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廉「平野先輩と仲いいんやね。」

「うん、そうだね。仲良いよ。」

彼女の事をこれ以上自分に近づけるのはイケナイと思った。
きっと平野先輩と繋がりがあることはクラスの誰にも秘密にしているのだろう。

「永瀬くんは長妻くんと仲良しだよね」

廉「ん、ああ。まあ仲悪くはないかな」

「高橋くんとも仲良くしてあげてよ」

彼女に初めて話しかけられたのは昨日だというのに彼女は俺の事をよくわかっている気がする。
俺の席とか、俺の友達の事とか。
俺が彼女を観察してきて彼女が俺に興味のある素振りを見せた事なんて今の今まで一度も気づきもしなかった。
これもまた、自分にとって都合の良い解釈なのかもしれない。

廉「高橋とやって仲悪くはないよ」

「でも高橋くんはそうは思ってないでしょう」

廉「どうして高橋の事気にかけとるん」

「....うーん、クラスメイトだからじゃない？」

彼女が不思議な魅力を持っている事は遠くから見ていた時から知っていた。
だけど本当にわからない。
彼女が行うすべての事の内、何が本心で何が嘘なのか。
不可解で不思議ででも、素敵だ。

廉「じゃあ、成瀬。俺とも仲良くしてほしい」

「永瀬くんは合法的だね。」

廉「そうでもないと、成瀬に飽きられちゃいそうやから」

「あはは、飽きるって何それ。」

そんな気がするのだ。
今はこうやって楽しく会話をしていたとしても成瀬の事だ。明日になったら急に塩らしくなっているかもしれない。
折角近づけた距離をまた振り出しに戻す事はしたくなかった。

「じゃあ、みんなには秘密ね。私達が仲良しな事。」

イケナイと思ったのに、自ら彼女を近づけてしまった。
もう遠くから彼女を偶像化して見ることもできないことになった。
淡い欲望が勝ったのだ。
しまったと思った。