君と、恋の話がしたい。 (ページ6)

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あれ以来、平野先輩と彼女が会っている所を目撃した事はなかった。
彼女はいつもの通り、昼休みになると空き教室に行ってはお昼ご飯を食べる。
なにも変わらず彼女は彼女だった。

俺はというと。

『おーい廉！しっかりボールみろ！』

この始末、部活に集中ができない。
いいや、ここ最近の俺は部活だけではなく勉学にだって熱が入らない。
その理由は自分でもわかっている。

長「....恋だね、廉」

部活が終わると、長妻が急にそんな事を言うから思わずスポーツドリンクを吐き出す所だった。
なるべく平然を保って長妻に訊く。

廉「何を根拠にそんなことを」

長「廉が何にも手付かずになることって
今まで恋愛関係以外ないでしょ。」

そんなにわかりやすいのか、俺。
確かに少し前、好きでもない女と付き合っていた俺はその女の対処ですごく悩んだ事がある。
何故付き合ったのかと訊かれるとよくわからない。
多分、それなりに人気がある奴として
性生活だけは派手でいたかったんだと思う。

だから勢いに任せてOKなんてした事を後悔した。
女は本当に面倒くさい。
デートは毎週したいだの、ラインを返さないだけで浮気してるでしょは酷かった。
確かに其奴の事は興味の欠片もなかったし、俺が成瀬に好意があったのも事実だからある意味当たっているのだけれど。
じゃあ、別れようかと促すとまたこれが面倒くさい。
結局、グダグダ長引いて其奴とは別れたけど俺の精神はというとズタボロだった。

長「今度は誰ー？」

ニヤニヤ楽しそうな長妻をいつも通り適当にあしらって俺はグラウンドから離れる。

廉「あ。」

長「どした？」

廉「携帯がない。教室や。」

帰り支度を終えていざ、門を出ようとする時に携帯がある定位置の左手ポッケを触るとその感触がなかった。
.........何から何までめんどくさいなあ、ほんまに。
長妻は先に帰らせて仕方なく教室に取りに帰ることにした。