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次に彼女と会えたのは、年が明けた頃だった。
場所は勿論、この病院だ。
「こんにちは」
言われてみれば彼女の身体は細すぎるし、
どうして今まで気づかなかったのだろうと腑甲斐なく思う。
彼女の病気について調べた。
だけど、わかったことは医者であれば誰だってわかるような基礎的な事だけだった。
当たり前なのだけれど。
突然、身体に痛みが出るというのが症状の内にあった。
この間、足が痛いといっていたのはもしかしたらこの症状の一種なのかも知れない。
「何？何か顔についてる？」
俺があんまり見つめるから、彼女は顔を朗らかにして笑って見せた。
きっと、無理をして。
紫「やっぱり、病気なんやろ」
「んー。そうなのかなあ」
俺がしつこくそう聞くから半ば諦めなのか、
それとも隠す事に疲れたのか彼女は初めて病を認めた。
「自分ではね、全然何もわからないの。
ただ突然どこかが痛くなったり、偶にこの辺りが苦しくなったりするだけだから。」
彼女は胸のあたりに手を置いてそう言った。
彼女が恰も当たり前のように言うそれが病気というものである。
いつ何が起こるかわからないから怖いものだ。
紫「俺が、必ず助けるよ」
彼女の病気をどうにかできるような知恵も能力も俺にはないのに、無意識の内にそう言った。
医者は医者である以上、患者に“ 必ず ”という言葉はNGだと父親に聞いた事がある。
保証はないけれど、最善を尽くす。
医者にできる事はそれだけなのだとも言っていた。
けれど口走ってしまった。
必ず助けると約束してしまった。
医者でもなければ、まだ医学の勉強もろくに始めていない、ただの学生であるというのに。
「それは頼もしいね。」
彼女の為にどうにかしてやりたい。
どうにかして、彼女を守りたい。
そんな自己中心的で我儘な俺の願望が生まれた。
医者になろうと初めて決心をした。
誰に何を言われるでもなく自分の意志で初めて決めた事。
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作者名：ふる
| 作者ホームページ：http://twitter.com/ei_njo
作成日時：2017年10月7日 15時
