君と、恋の話がしたい。 (ページ5)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:239,876 hit

5 ページ5

.

思っていたよりも落ちた。
それはその相手があまりに彼女に相応していたからだ。

高橋と付き合っていない仮定で心の中で思っていた事でもあった。
彼女が誰にも興味を示さないのは彼女自身、自分の魅力に気づいていて自分に合う相手が現れるのを待っているからではないかと。

興味を示さなかったわけではないのか。
平野先輩以外に興味がなかったのかもしれない。

『つーかたったの一度だぜ？』

周りから聞こえた笑い声に動揺がばれないようにつられて笑う。

一度。
そうか、一度だけなのだ。
俺が何度もあの教室に通っているのに、彼女と平野先輩が密会している所を目撃したのは一度だけだ。

俺はわかりやすく喜んだ。
たった一度の密会を目撃した所でなんだ。
別に二人が付き合っているなんて確証はどこにもないではないか。

海「一度かどうかの問題じゃないでしょ」

そう口を開いたのは高橋だった。
俺と高橋は別に仲がいいわけではなければ悪いわけでもない。
同じ輪の中で話す事があっても二人で話すなんてした事がない。

『本当に気の迷いだったんだって....』

海「一度だってダメでしょ。
安藤さんが怒るの当然だよ。」

一度だとしても浮気は駄目だ。
高橋の言葉は正論だった。
それが何故だか悔しくてそこそこ仲がいい長妻をつれてさり気なくその輪から出た。

廉「なあ、高橋って彼女とかおるの」

長「え？そうなの？」

廉「いや、おるのかなって」

長「どうかな。でも彼奴、成瀬の事好きそう」

客観的に見てもやっぱりそう見えるのか。
俺にもそう見える。
成瀬の矢印の向きは不明だけど少なくとも高橋は成瀬の事が好きだ。

でも残念だったな高橋、敵は強い。
なんて言ったって平野先輩だ。
勝てっこない。
それは俺にも言える事なんだろうけど。