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彼女に対しての独占欲が強い。
俺だって自分でそう思ってたけど、平野は異常だ。
男はみんな田中だというのは、きっと男にはみんなどうしようもない下心と欲求があるものだから。
だから気をつけろ、という彼女に対する忠告なのだと思う。
彼女がお君さんだというのもまたそうだ。
世間知らずの夢見る少女が彼女に重なって見えるのだろう。
彼女は世間知らずでも夢見る少女でもないけれど、でも真っ白なまま汚れを知らずに生きてきた点では確かに似ている。
海「永瀬」
廉「....何」
高橋海人。
入学当初からずっとそうだ。
周りに人がいないわけでも嫌われ者であるわけでもないけれど、いつでもそこに境界線をはっているような。
高橋がクラスの輪の中で楽しく話していたとしてもその裏で俺は人とは違うぞと態度で示されているような。
だからとっつきにくかった。
俺と高橋の仲が悪かったわけではないのだけれど。
というか、悪いも良いもない。
海「成瀬さんのことあんまり困らせるなよ」
そして此奴もまた、彼女の事を想う男の1人。
一体何を思って突然に俺を呼び出し、突然そんな風に言うのだ。
廉「困ってるって成瀬がそう言ったんか?」
海「そうじゃないけど。だけど、どうみたって迷惑だ。」
廉「何がどう迷惑なのか教えろよ」
海「朝、成瀬さんの事早く来させて2人で話し込んでんじゃん。
ああゆうのが迷惑なんだよ。」
バレていた。けれど驚きはしなかった。
というかそれもそうだろう。
毎日決まって2人だけ先に教室にいるのだから誰だって怪しいとは思うだろう。
高橋以外だって気付いてる奴はいるはずだ。
誰も口を挟んでこないだけで。
廉「さっきからなんなん?
成瀬がそう言ったわけじゃないんやろ?
何で俺がお前にそう言われなあかんの?」
海「....成瀬さんは優しいから言えないんだよ。」
彼女はいつだって楽しそうにしてくれる。
それに俺といると楽しいって。そう言ったのは間違いなく彼女だ。
廉「...もう意味わからん、行ってい?」
呆れた俺がそう訊くと高橋がまた口を開く。
海「ねえ、本当に何も知らないの」
廉「だから何が」
海「.....成瀬さんの事だよ」
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作者名:ふる | 作者ホームページ:http://twitter.com/ei_njo
作成日時:2017年10月7日 15時