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その日の昼休み。
彼女はいつものように空き教室に向かう。
俺は彼女と秘密の関係を始めてから彼女の動向を追うのをやめた。
平野にストーカーだと言われた事もそのせいだといえばそうだけど。
する必要がなくなった、というのが正しいか。
そもそも彼女の事が好きで、だけど近づけなかったから観察していただけで。
今は、前とは明らかに違うし。
それに彼女はきまって空き教室で昼飯を食べるだけだ。
それがわかっているから。
俺に困るような事が起こる事だってない。
稀にあるかもしれないけれど、もしあるとしてそれは平野だ。
彼女と平野に関しては決して心は穏やかではないけれど、だけどまだマシではある。
平野は何故だか彼女と一線を置いているから。
付き合ってはいない、だけど明らかに大切にはしている。
よくわからないというのが本音。
一線を置いているというのは彼女にも言える事だ。
彼女に至っては誰に対してだってそうだ。
俺は勿論、高橋も、平野にもだ。
色んなことを誰にも秘密にしたがるところがある。
こっちの件はもう安定によくわからない。
頭を悩ませた。
母親が作ってくれた弁当と呼べるか不明な焼きそばを食べながら。
...........ネギ。
いつも焼きそばにネギなんて入っていたかよ。
いや、きっと入っていたんだろう。俺が気づかなかっただけで。
彼女が言っていた『葱』の話中の田中くん。
急に気になり出してすぐにスマホを取り出した。
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お君さんは田中くんが好きだった。
ある日、田中くんが自分に好意を寄せてくれている彼女を街のサーカスに誘う。
決して彼女の事が好きだからというわけでなく、ただの下心だけの一心で。
彼女はデートを楽しみにしていたのに、もうサーカスが終わってしまっているからと彼は彼女を騙した。家に誘った。
彼女はどうしようもなく純粋なものだからまんまと騙されてしまう。
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作者名:ふる | 作者ホームページ:http://twitter.com/ei_njo
作成日時:2017年10月7日 15時