君と、恋の話がしたい。 (ページ35)

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さっきも言った通り、そもそもどうして平野先輩に何か許可を取る必要があると思ったのか。
そんなのは簡単だ。
そもそも俺が彼女を救おうだなんて無為な事は考えていないから。

後からのうのうと現れた俺なんかに全てを理解したくてもそんなのできるわけもない。
俺も馬鹿じゃないからわかっていた。
だから微塵の力でよかった。

俺が彼女を救えるなんて思っていない。

けれど、彼女を幾らか助けてはあげられるはず。
彼女の力になることはできる筈だ。
そこに元々適任者がいる。

誰もが賞賛する男、俺だってその1人。
だったら俺は間違えることもなく全責任を其奴に託したまま、2人に寄与をすればいい。それでいい。

だってあの2人は特別だ。
俺にはわからない特別な関係。
その関係性が恋仲ではないのに間違いなくお互いに惹かれあってはいる。
微妙な距離感でしか側に居られない理由、それがなんとなく俺にはわかるけど。

「髙橋くん、紫耀くんに秘密でだから。ね、お願い。」

海「いやダメだよ。そういうのはちゃんと報告する約束なんでしょ」

「いいじゃない。少しくらい大丈夫だよ」

海「ダメ」

俺と彼女の距離が少しずつ近づいていくと共に彼女は相応して彼女は俺に気を許してくれた。
それは嬉しい事だけど同じように俺に対して頼み事も増えた。
例えば今のように、バッティングセンターに行きたいだとか。
その事を平野先輩に黙っていてはくれないかと頼まれる。
彼女が自由に身体を動かすのも出かけるのも彼女の力になる上で大いに叶えてあげたい願いではあるけれど、俺にも平野先輩との約束がある。
彼女を守る義務がある。

海「こう言う事を言うのはどうかと思うんだけど、君は病気なんだから安静にしなきゃダメだよ」

「....そうやって病人扱いして」

海「ごめん。でも本当に何かあった後じゃ遅いでしょ」

「その時はその時でいいじゃない」

海「え？」

「もし何かがあったとして、その時はその時だよ」

そんな事を言っていた事があった。
確か、夏休みの前。
彼女が手術を受ける前の話だ。