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紫耀が会いに来てから一週間が経つ。
もともとこっちに長居するつもりはなかったらしく、久しぶりの再会も案外あっさりとしたものだった。
紫耀らしいなと思う。
言いたいことだけを言いに来た感じが。
紫耀からもらった時間は私が廉にけじめをつけるためのものだ。
それから私は廉にちゃんと連絡したはずだ。
「きちんと話がしたい」と。
返ってきた返事は
「そうやな。ならデートしよう」だった。
廉「おう!A!こっちや!」
「...っえ、うん、え!廉ちょっと待ってって!」
廉に指定されたデートの場所は、付き合う前に一緒に来た遊園地だった。
廉「A!あれいこーや!」
「ねえ!廉ちょっと待って、私、廉と話がしたくて」
廉が私の手を取る。
ぐいぐいと引っ張って、強引に列にならばされる。
廉「話、後でちゃんと聞くから。だから今日は最後にAに沢山笑ってほしい」
「...廉」
廉「何やその泣きそうな顔」
「...笑ってほしいならこれはやめようよ!」
廉に連れられたのは幽霊館脱獄ゲームといわゆるお化け屋敷だった。
廉「大丈夫、俺いるし」
「むり!廉びびりじゃん!私前歩きたくないもん!」
案の定、廉はめちゃくちゃびびっていて私の肩から離れずにぴったり後ろを歩いたし、ギャーギャーうるさくて耳が壊れるかと思った。
その後も、メリーゴーランド、ジェットコースター等廉のペースで散々に回った。当たり前のようにお金を出してくれる廉にも当たり前のように繋がれる手にも、もはや突っ込むタイミングを失っていた。
廉「疲れたやろ?ほれ」
「ありがと」
廉がペットボトルのお茶を買ってきてくれる。
優しい廉。
一口飲むと俺も飲むからと私から受け取る。
懐かしい廉。
廉「こんな調子で大丈夫かなって考えてるやろ」
「えっ」
廉「わかってる。大丈夫やから。ほんまに。俺、全部全部許してるおまえのこと。」
「...」
廉「あいつのとこ行かんで、とか、わがままも言ったりせんから」
「...」
廉「でも、ちょっとは後悔しろよな」
優しく笑って廉の手が私の頭に触れる。
私は何も言えずにいた。
だって今心の中で「愛しい」って思ってしまったから。
廉「...最後!あれ乗るからな!」
廉の指差す方向に観覧車がある。
忘れもしない、あの観覧車。
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Sasa(プロフ) - 大好きな作品です…更新待ってます( ; ; ) (2022年10月29日 12時) (レス) @page12 id: d5f0acd946 (このIDを非表示/違反報告)
miiika(プロフ) - 夢中になって時間を忘れてました!大好きな作品です!!更新楽しみにまってます! (2020年5月31日 18時) (レス) id: bda362bf51 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - 更新うれしいです(涙) (2020年5月8日 22時) (レス) id: 0ce10784e5 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - 今までたくさんのお話を読んできましたが、こんなにはまったお話本当に久しぶりです(T-T)ふるさんにしかない表現や世界観に引き込まれていきます!!完結楽しみにしています!これからもゆっくりふるさんのペースで頑張ってください! (2020年4月24日 1時) (レス) id: fa4e2366ed (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - お帰りなさい。たまに読み返してみたりしていたので、更新嬉しいです。 (2020年4月21日 16時) (レス) id: 0d7011afb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふる | 作者ホームページ:http://twitter.com/ei_njo
作成日時:2017年9月25日 18時