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我ながら窶れたなあと思う。
体重が6キロ落ちた。
大好きな甘い物も中々喉に通らなくなった。
岸「疲れてるね、はい」
「ありがとうございます」
岸さんが持ってきてくれたアイスココアに口を付ける。とてつもなく甘い。
岸「ごめんね、今日は廉いなくて」
「いや、全然。」
廉のバイト先に突然訪れたのは私だ。
もう一度きちんと廉と話さなければいけないと思った。
廉との交際期間中の浮気について。
あの時、肝心なことを廉には何一つとして言えなかった。
だけどやっぱり全部言わなくてはダメだ。
それは礼儀として。
岸「少し前までは毎日のように出勤してたんだけどなあ。Aちゃんに買ってあげたいものがあるって」
「......」
岸「ごめん。俺、意地悪してる」
その意地悪というのは岸さんが優しいが故であるし、廉の事を大切に思ってくれているが故。
意地悪だ、なんてそんな事ない。
ただ、動揺はする。
岸「ごめん。本当に。俺なんかが口を挟むもんじゃないってわかってる。だけどさ、なんか俺が悔しいんだ。なんでかわかんねんだけど」
私はただ聞くだけだ。
本当にそれしかできないのだ。
岸「廉は男の俺から見てもすげえかっこいいし、太っ腹だし。その癖、彼女の事一途に思ってて。実際俺もねAちゃんの事見たとき、それはそうなるわなあと思ったし。」
「岸さん」
岸「うん、ごめんね。本当に。
だけどさどうせあいつの事だから。
Aちゃんには何一つ不満なんてぶつけないで終わったんだろうなって思うとやるせなくて。いや、その、Aちゃんに怒ってるとかそういうわけじゃないんだけど」
「....」
岸「やっぱり教えてくれないかな。
彼奴のどこが足りなかった?
それとも束縛が過ぎたとか?
それか俺の知らない所で実はすげえことしちゃったとか.....」
「岸さん」
岸「うん。」
「本当に、廉に原因は何もないんです。」
岸「なら、どうして」
「....どうしても守ってあげたい人ができてしまいました。」
岸「...Aちゃんにか。」
「ごめんなさい。本当にごめんなさい。」
岸「ちょ、泣かないで」
本当に、本当に何も無い。
廉に悪い所なんて何一つとしてない。
ただどうしようもなく私が駄目で、
取り返しのつかない馬鹿なのだ。
そして私が弱いのだ。
中途半端な正義感だけは一丁前にある癖に。
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Sasa(プロフ) - 大好きな作品です…更新待ってます( ; ; ) (2022年10月29日 12時) (レス) @page12 id: d5f0acd946 (このIDを非表示/違反報告)
miiika(プロフ) - 夢中になって時間を忘れてました!大好きな作品です!!更新楽しみにまってます! (2020年5月31日 18時) (レス) id: bda362bf51 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - 更新うれしいです(涙) (2020年5月8日 22時) (レス) id: 0ce10784e5 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - 今までたくさんのお話を読んできましたが、こんなにはまったお話本当に久しぶりです(T-T)ふるさんにしかない表現や世界観に引き込まれていきます!!完結楽しみにしています!これからもゆっくりふるさんのペースで頑張ってください! (2020年4月24日 1時) (レス) id: fa4e2366ed (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - お帰りなさい。たまに読み返してみたりしていたので、更新嬉しいです。 (2020年4月21日 16時) (レス) id: 0d7011afb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふる | 作者ホームページ:http://twitter.com/ei_njo
作成日時:2017年9月25日 18時