＊ ページ14
「わたしは絶対に、鬱くんのこと好きになれないよ」
「……知っとるよ。Aちゃんが無性愛者で、僕の恋人に絶対なってくれへんことも」
「うん、そうだろうね。だってこの会話するの何回目？」
「数えてへん」
「まあ、私もだけど。でもそれくらい同じ会話をしてるんだね。」
くるくるくるくる。
鬱の左腕にあった赤い線たちは、みるみるうちに見えなくなっていく。
Aは知っていた。
この男が自分のことを好きなことも。
自分が決して彼になびかないことも。
そして彼が自傷行為をするのは、自分のせいだということも。
全部全部、わかっているのだ。
それでもAは鬱の家に行くことをやめない。やめられない。やめたくない。
それは鬱が友人だから。そして罪滅ぼしのためだから。
ーーある意味、自己満足だとAは自嘲する。
可哀想なこの男と自分勝手な自分。
「……案外お似合いなのかもね」
「ん？ なんか言った？」
「……ううん。なんでもない」
「そか。」
そして鬱はちゅっと軽く包帯が巻かれた左腕にキスをした。
恋人のように。優しく甘いキスを落とす。
いつものことだ。
きっとあの赤い線たちは、傷ついた鬱の恋心なのだろう。
だからAは鬱の行為を止められないのだ。
その恋心を殺した犯人は、紛れもない自分だから。
……本当はな、Aちゃんの考えてること、なんとなく予想できる。
恋人とかじゃなくても、Aちゃんは僕のそばにずっといてくれるってことも、全部。
でも、僕が望んでるのはその関係じゃない。
だからさ、二人で一生、苦しいまま生きていこう。
君は罪悪感を抱えながら。僕は絶対に叶わない恋の痛みに耐えながら。
大丈夫。幸せにはなれなくても、生きていくことはできるから。
だから、Aちゃん。
絶対にひとりで幸せにならんといてね。
それをされたら、今度こそ僕は、君を殺してしまうだろうから。
あとがきにも満たない何か(※コメント返信)→←包帯の下の赤は愛色をしている【ut】
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じばくとっこうたい - エストが出来るのであれば、出夢ちゃんみたいなヤンデレshaさんが読みたいです。よろしくお願いします) (2021年4月19日 21時) (
レス) id: 05f946baf6 (このIDを非表示/違反報告)
じばくとっこうたい - なでこちゃん！！！！！私の推しで、口調とか雰囲気がすごく再現されていてびっくりしました。前作の方でも黒猫ちゃんが出てきてめちゃくちゃ興奮いたしました←文章もすっごく素敵で、他の作品も読ませていただきました。これからも応援させていただきます。(もしリク (2021年4月19日 20時) (レス) id: 05f946baf6 (このIDを非表示/違反報告)
1 - 凄いグッサリきました！リクエストに応えていただきありがとうございます。現実が見えてるけど止めないタイプのメンヘラっていいですよね。 (2020年12月17日 0時) (レス) id: 3bc86cc6f5 (このIDを非表示/違反報告)
1 - それと、リクエストを1つ。個人的に、utさん、sypさんのメンヘラが好きで、どちらか書いていただければ嬉しいです。よろしくお願いします。 (2020年10月22日 21時) (レス) id: 3bc86cc6f5 (このIDを非表示/違反報告)
1 - 私に凄く刺さるお話ばかりで、とても楽しませて頂いています。やっぱり、メンヘラやヤンデレっていいですよね。これからも応援しています。 (2020年10月22日 21時) (レス) id: 3bc86cc6f5 (このIDを非表示/違反報告)
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