厳選厨が通ります６【カロス編】

チャンピオンと英雄 ページ41

《ＮＯ side》

──そのバトルに、誰もが魅了された。

息もつかぬ攻防戦に目を奪われる。シンオウチャンピオンとイッシュの英雄の対決。どちら肩で息をしながらひたすらに指示を出していた


「"ギガインパクト"！！」

『"つるぎのまい"！からの"シェルブレード"！！！』


知的でミステリアスな印象の強いシロナ。洗練されたバトルスタイルが少しずつ崩れていく。普段は優雅に戦うガブリアスまでもが、本能のままに吠え猛る。

「(…Aさん…！貴方って本当に最高だわ…！！)」


細胞一つ一つに刻まれたような"記憶"。その目がシロナの本能を掻き立てる
遥か昔から、このトレーナーを知っているような感覚に陥ったという。

ゾクゾクと背筋が凍る。武者震いなど久しく無かった。イッシュで初めて会った時よりも、初めてバトルを見た時よりも。確実に強くなっていると。


「…でも、勝つのは私よ…！！！"りゅうせいぐん"！！」


無数の隕石がダイケンキに降り注ぐ。ガブリアスの"りゅうせいぐん"はしっかりとダイケンキに命中したのだ

……それでも、ダイケンキは倒れない。もう充分にダメージを与えたはずなのに。傷だらけの身体を支え懸命に立っている。


『…っまだ！！まだだ！！！"シェルブレード"！！』

「……っダァァァイ！！！」


先程よりも威力の増した"シェルブレード"に、ガブリアスも苦しそうな表情を見せる。


＿「A選手のダイケンキ！！！なんとここで！！"げきりゅう"を発動させました！この勝負…！！最後まで勝敗が分かりません！！」

残りのHPが少なくなった時に発動する、ダイケンキの特性。極限状態に追い込まれている証拠だ。

両者が、ゆっくりと動き出す。どちらもフラフラと覚束無い足取りで。


「『(次で……決める！)』」


きっとこれが最後の一撃。2体の屈強なポケモンが息絶え絶えに雄叫びを上げる様子は、野生ポケモンの縄張り争いそのもの。その姿に観客や、控え室にいたチャンピオン達までも鳥肌が立った。


「……っ"ドラゴンクロー"ォォ！！」

『っっ"シェルブレード"ォォ！！！』



────刹那、風を切る音が。そして刃同士が擦れる金属音が会場に鳴り響いた。

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