厳選厨が通ります６【カロス編】

創造神 ページ23

ーーー


ーー



ー


『へぶっ…！』

顔面から着地してしまい、何とも情けない声を漏らす。ひりつく顔を押さえながらゆっくりと立ち上がれば……

上も下も真っ白な場所に飛ばされていた。変な世界に連れてこられたものだと感じた直後、足音のような。唯ならぬ気配に勢いよく振り返った


「……ここは、時間も空間も超えた私の宇宙。よく来てくれました」


……初めて聞いた声。男か女か、オスかメスかも分からない。不思議な声色だった。
…そして、見た事のあるポケモンにため息をついて。こう言ったのだ。



『……全く、シンオウに行った時に挨拶くらいしなよね……


ねぇ？"アルセウス"』

「……」


そうぞうポケモンのアルセウス。神話によれば、世界の全てを作ったポケモンとも言われている。いわば創造神である。

多分声を上げて驚くところなんだろうけど、不思議と気分は落ち着いていた。これで冷静に物事を考えられる。アルセウスが私に何の用なのか、何故こんな場所に連れてきたのか。聞きたいことは山ほどあるが1つずつ整理していく


『……本来、私はあの場面で死ぬはずじゃ無かった。そのきっかけを作ったのはアルセウスなんだよね？』

「…」

『どーしてくれんのさ。ここポケモンだぞ？全年齢対象の作品なの！あんな血塗れで死んじゃったら皆トラウマだって！小さい子も…マノンやユリーカちゃんだっていたのに…』


血がブシャーっと。体に穴がガバーッと。思い出すだけで肺が痛くなってきた。ポケモンで流血シーンなんか出すなよ……


「……それなら、ご心配なく。貴方という記憶を全ての人間から抹消しました」

『あ、やっぱりね。ならいいや』


いや別に、良くは無いけどね？というかアルセウスってそんな話し方なんだ。意外。


『………記憶が消える…か。似たような話を聞いたな。じゃあ仮に私があの世界へ戻ったとしても……もう…』


皆の思い出の中に、もう私はいない。リセット現象って言ったっけな。


…何だか寂しい。もっと色んなことしたかったのにな。イッシュに帰れなかったしマノンちゃんとの約束も守れてないし、みんなにありがとうって伝えられなかったし。

……何よりヒュウに。好きだって言えなかったなぁ。


『(最後くらい、わがまますれば良かった)』


今にも零れ落ちそうになる涙を必死に堪えていると、ぼんやりとした視界からアルセウスが再び話しかける


「……いいえ。貴方が望むのであれば、もう一度あの世界へ帰しましょう。記憶も、あなたの傷を負った肉体も…全て戻して」

『え…！？ほんとに！？』

「ただし…条件があります」

かみさまの言う通り→←・・・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す