厳選厨が通ります６【カロス編】

この先もずっと ページ21

「……っ何故だ！！」


フラダリも、涙を見せている。私のために泣いてくれてる


「善人ほどすぐにいなくなる…！世界を思い人を思うトレーナーほど…！どうして…！！」

『……』


せっかく、仲直り出来ると思ったのにね。こんな終わり方じゃフラダリも可哀想だなと呆然と空を眺めた。

まだ動ける、もう少しだけ話せそうだ。未だ止血の処置を行っているムサシの手を掴み、患部からそっと離してやった

……もういいよと、言う代わりに。


『……ニンフィア…ルカリオ…パルスワン…ビクティニ……ミロカロス……』

「「「！」」」

まずは、今までこんな私についてきてくれた。大切なパートナー達に。


『………ごめんね』


その言葉を聞いて、みんな泣き崩れてしまった。いつもは紳士的なルカリオもわんぱくなパルスワンも優美なミロカロスもおちゃめなビクティニも……そして、ずっと寄り添ってくれたニンフィアも。
そしてレシラムにもきっと、私の声が聞こえているはずだと。

「Aっ…！？」

「体が……透けて…！！！」


アイリスちゃんの言葉に視線だけ動かせば、確かに腕が透けている。小さな光の粒子が身体中から溢れているのが見えた

………あぁ、そうか。これがリセット現象ってやつか。前に聞いたな。


パタン、とゲーム機を閉じるように。今までの冒険を全て消去してしまうように。

………私は、皆の記憶から消えるんだと。


『……ヒュウ…』

「…！なんだよ、バカAっ…！」


だったら、私からあなたに言うことはただ1つ。

『………"ありがとう"』


どうか、私がいなくなっても。貴方がずっと幸せに生きられますようにと。
私からの最後のお願いだった。

ゆっくりと目を閉じる。今までの思い出が全部全部、溢れてくる。みんなに見守られて、私は本当に幸せ者だなと。


「やだっ…！！A！！！」

「頼むから…！！目を開けてくれ…！！！」



明るい空に、溶け込んでいくように。少しずつ体が透けていく。ふわりと体が宙に浮いたような感覚を覚える。

…大丈夫。今は辛くても、すぐに忘れられるから。


………だからどうか、この世界がずっと平和でありますように。

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