定め ページ20
「「「……っA!!!」」」
ヒュウやサトシ、アランくんが急いで駆け寄る。地面に倒れ込む前に体を支えてくれたが……彼らの手には血がべっとりと付いてしまった。こんなにも汚してしまって申し訳ないとどこか達観する自分がいた
「……っ代表!!!貴方は!!!本当に…!」
「……っ!!!」
違う、フラダリのせいじゃない。そう伝えたいが喉からヒューと音が漏れるだけ。朦朧とする意識の中でアランの服を掴み、ゆっくり首を横に振った
「A…っ!!!」
『……ちが、誰の…せいでも……』
「もう喋っちゃダメだ!!!しっかりしろ…!今すぐ応急処置を…!!」
今にも泣きそうな顔だった。アランくんが震える手でポケットからタオルを取り出していると、また別の誰かの声が聞こえてきた
「どきなさいあんた達!あたしが変わる!」
意外にも、ロケット団のムサシだった。そういえばこの人は過去にナース学校に通っていたんだっけ……もはや遠い記憶のように思える
流石は元看護師志望。慣れた手つきで患部にタオルやハンカチを当て止血している。普段は敵同士なのに……こういう時だけ味方なの、本当にズルいよな
「っ救急隊は!?」
「あと5分で到着するらしい!この上着も使ってくれ!」
焦りながらも、ダイゴさんが救急ヘリを呼んでいた。ここは街から離れた荒地で、きっとミアレシティの救助活動で精一杯だ。救急隊が来るまでにかなり時間がかかるだろう
仰向けに寝転んだまま、ただ空を眺めていた。その視界には顔なじみのある人達ばかりが映り込む。ボロボロと泣きながら私に声をかける人も、懸命に応急処置に勤しむ人も。
マノンちゃんは、バッグからキズぐすりやらオレンの実を取り出して私の顔に近づけている
「っバカ!そんなんで治るわけ…!!」
「治るもん!!!治ってくれなきゃ……!Aとの約束果たせないもん…!!」
『……やく、そく』
「そうだよ!!!言ったよね!?ハリさんが治ったらどこへでも連れてってくれるって…!!
ハリさん、さっき目を覚ましたんだよ!?せっかくまた皆で旅が出来るって…!!
なのに…!!こんなの…!!!」
ああ、そういえばそうだった。ごめんねマノンちゃん。その約束はもう…果たせそうにないや
…寒い、手足の感覚が無くなっていく。血を流しすぎると人間はこうなるのか…と他人事のように考えた。
肺に血が溜まっているせいか口の中も鉄の味がする。もう助からないんだろうなと思い耽る
522人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひな(プロフ) - 改めてシリーズ作品を全て読ませて頂きました...ポケモンの素晴らしさっていうのがちょこぴーさんの作品では何にとっても何に代えたって伝わるんです。いつの時代でも胸が高鳴ってどうしようもないくらい好きだって言えるような作品です😭 長文失礼しました! (2月19日 1時) (レス) id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - ここまで書き続けてくださってありがとうございました!!!番外編も拝見させていただきますね!!!大好きです!!!😌😌❤️❤️ (2月18日 23時) (レス) id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!!!こんなに遅くなってしまってすごく申し訳ないです、引退までの時間は短くなってしまいましたがそれまでは楽しんで欲しいです...😌😌 大好きな作品か終わってしまったのは悲しいけど完結はやっぱりおめでたい事なので... (2月18日 23時) (レス) @page50 id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
もるる - 完結おめでとうございます!1年ほど占ツクから離れてたのですが不意にこの作品が読みたくなって帰ってきました。やはり続きが沢山あって狂喜乱舞しました(笑)改めて最初から読み始め、最後まで楽しませていただきました。これからも密かに応援させていただきます。 (1月30日 19時) (レス) @page50 id: c69fdbd3cf (このIDを非表示/違反報告)
チョコ&ピーナッツ(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉さぁぁぁん!!!こちらこそ!!!本当にありがとうございました!!!素敵なイラストも沢山いただけ本当に嬉しいです…!この作品を通して柚葉さんに出会え、私こそとても楽しかったです!!ありがとう!!!!! (1月20日 16時) (レス) id: 827ada299b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チョコ&ピーナッツ | 作成日時:2023年12月17日 18時