厳選厨が通ります６【カロス編】

1歩ずつ ページ19

『街も直る、人も変わる。壊すことより簡単では無いけど…力を合わせて少しずつ変えていく。それを私達が証明してみせるよ

…だからさ、私達の未来にもう少しの間だけ。望みをかけたらいいんじゃないかな』


私の言葉に、多くの者が頷いた。ゆっくりとモンスターボールを降ろし優しい表情を浮かべながらフラダリを見つめる

本気でぶつかりあったら、仲直りってね。

「……私を許すというのか？」

『うん。そんなの当たり前じゃん』

「……」

じっと私の手を見つめるフラダリ。何も私達はフラダリを憎んでいた訳じゃない。

ただ世界を変えるための方法を間違えただけ。間違った道を直してやるのも、同じ場に居合わせた人間達の使命だと思うから


『……大丈夫』


そう笑いかけると、少しずつ手を伸ばしてくれた。握手はバトル後に健闘を称えるためにやるけど……仲直りの印でもあるからね。

お互いの手が触れるまで、あと少し。




─────その時、フラダリが腕に着けているメカが僅かに点滅していた。注意深く見ないと分からない程の小さな光で、フラダリ本人でさえも気づいていない。

なんか光ってるよ、そう口を開いた瞬間に。


私達に影が差し込む。


「なっ…！？」


フラダリのメカに反応したのか、もう動きが止まったはずの蔦が……1本だけ。フラダリに向かって伸びてきた。
咄嗟のことでポケモンの指示すら遅れる。このままではフラダリに直撃してしまう、という考えが脳を過る

無意識だった。気がつけばフラダリを押し飛ばし両手を広げる


＿ザシュッ…！


肉が裂ける音。その瞬間に胸部に激痛が走る。痛いなんてものじゃない。あまりの出来事に反撃などする暇もなかった

くぐもった声を吐きながらその場に蹲る。感覚的にしか分からないが……多分……


────体を、貫かれた。

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