厳選厨が通ります６【カロス編】

世界は、変わる ページ18

───暫く街の上空を飛び続けていると、緑色の光が無数にも飛び散っていく。ジガルデ・セルが解放され元の場所へ戻っているのだろう

そしてその中央には、2体のジガルデ・コアが見えた。何となくこちらを見ているのを察した。
何故フラダリを助けたのか、そう言いたそうだ


『……これが、私なりに出来ることなんだ。倒すだけで終わりたくない、その先の未来を見たいと思うから』

「……」


そう伝えると、2体とも満足そうに頷いた。そのまま空高く上っていき…どこかの森へと帰っていく。ユリーカちゃんの元へ戻らず、秩序を守る伝説ポケモンとして役割を果たすために。

巨石も無い、ジガルデもいない。もうフラダリに残された力は無い。とどめを刺すなら今だって思うかもしれないけど……私はそんなことをしない。


「………世界は醜い」


ポツリ、と半壊した街を見渡しながらフラダリが零す。お前まだそんな事言うかと反論したくなった


「人間がいるから、街も自然も壊される。限りある資源を奪い合う」

『なるほど……でもさ、直すのも人間だよ』

「…？」

『……壊したものは直せばいい。そんな簡単な話じゃないけど、時間をかけて少しずつ直していくから…街も変わるし世界も変わる

そうやって、未来は変わっていくんじゃないかな』


なんて、少し大袈裟かな。たかだか12年しか生きてない人間には説得力なんてない。

……だけど、色んな人がいるから世界は成り立つ。誰も欠けてはいけない。それだけはどうしても伝えたかった。


『……見なよ、綺麗な空』

「…！」


気がつけば、山の間から朝日が顔をのぞかせる。次第に空は明るみ始めた。街も山も海も照らすお日様がとても眩しく見える

……まるで、悪夢から目覚めるような。そんな輝きを放っていた。


ーーー



ーー



ー

ふわりと空を飛び回りながら、ようやく地上へ降り立った。フライゴンにお礼を告げてヒュウの元へ帰す。

フラダリが見えた瞬間、一斉に警戒し始めた。そりゃあそうだろう。ついさっきまで戦ってたラスボスなんだし

そんなトレーナー達を制して、改めてフラダリに向き直った。


『……見たでしょ？人間とポケモンの底力ってやつ。1人じゃ出来ないことも、皆となら一緒に乗り越えられるんだって』

「……」


徐に、手を差し伸べた。

傷つけ合うだけじゃ何も生まれないと知ったから。憎しみ合っても残るのは不幸だけだと分かったから。

……だから敢えて、あなたに歩み寄る勇気を。

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