英雄の終わり ページ12
奴の声に、どよめきが走った。あの場にいたサトシやアランくんもパキラさんも…ヒュウも驚いている
「まさか…!」
「そんな、だって……!」
……無理もないだろう。プリズムタワーの最上階から飛び降りたはずの…フラダリが。何故かこの場にいて。巨石を動かしている。
これが奴の最終兵器だったのだろう。ハリさんを助け出しても尚、不気味な色に輝く巨石に皆が息を呑んだ
………でも、私はフラダリに目を向ける余裕など無い。
『ごめん…ごめんね…!レシラム…』
「……」
全部、知ってたはずなのに。ハリさんを助けて終わりじゃないってことも。フラダリは野望をまだ完全に捨てていないことも。
これから先どうなるか、分かっていた。だから常に先手を打っていた
……のに、自分のポケモンさえ守れないなんて。トレーナー失格だ
「……キュ…」
そんな考えを見透かすように、レシラムは私の頬に自身の顔を擦り寄せた。お日様のような匂いがする。とても心地よい体温だった
そして暫く顔を埋めていたが、ふと満足そうに鳴いたレシラムはゆっくり目を閉じる
───その瞬間、仄かな光を放ちながら姿が変わっていく。
『…レシラム……?レシラム!!』
元のライトストーンの状態へ戻ってしまったのだ。あんなに逞しかった体は、私の手の中にすっぽり収まってしまう程の大きさに変わった。
『レシラムがっ……』
じんわりと目頭が熱くなる。ライトストーンを優しく握りしめれば、ほんのりとまだ温かい……レシラムが生きている証のように思えた
「……大丈夫、死んだわけじゃない」
ふと、アイリスちゃんが私の背中を摩ってくれる。
「英雄伝説白の章であったんだ。"戦い疲れたレシラムは、ライトストーンに姿を変え深い眠りにつく"って……だから大丈夫だよ」
『………っでも!』
"私がレシラムを傷つけたって事だよね"
ポツリ、とそう零した。
『私が…悪いんだよ。レシラムをこんな姿になるまで戦わせて、傷つけて…!だからレシラムは……』
「違う!Aは悪くない!」
『違う、違うんだよアイリスちゃん……』
そうじゃないんだ。初めから、私が英雄って認められること自体がおかしかったんだ。
……私は、運が良かっただけ。偶然あの場に私がいて、偶然知識を持っていて。考えついた作戦も偶然上手くいっただけで。
誰かのような才能も無ければ、誰かのような強さもない。ただポケモンが好き。バトルが好き。それ以外は何の力も無い
……その結果、ポケモンを傷つけた。
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ひな(プロフ) - 改めてシリーズ作品を全て読ませて頂きました...ポケモンの素晴らしさっていうのがちょこぴーさんの作品では何にとっても何に代えたって伝わるんです。いつの時代でも胸が高鳴ってどうしようもないくらい好きだって言えるような作品です😭 長文失礼しました! (2月19日 1時) (レス) id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - ここまで書き続けてくださってありがとうございました!!!番外編も拝見させていただきますね!!!大好きです!!!😌😌❤️❤️ (2月18日 23時) (レス) id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!!!こんなに遅くなってしまってすごく申し訳ないです、引退までの時間は短くなってしまいましたがそれまでは楽しんで欲しいです...😌😌 大好きな作品か終わってしまったのは悲しいけど完結はやっぱりおめでたい事なので... (2月18日 23時) (レス) @page50 id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
もるる - 完結おめでとうございます!1年ほど占ツクから離れてたのですが不意にこの作品が読みたくなって帰ってきました。やはり続きが沢山あって狂喜乱舞しました(笑)改めて最初から読み始め、最後まで楽しませていただきました。これからも密かに応援させていただきます。 (1月30日 19時) (レス) @page50 id: c69fdbd3cf (このIDを非表示/違反報告)
チョコ&ピーナッツ(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉さぁぁぁん!!!こちらこそ!!!本当にありがとうございました!!!素敵なイラストも沢山いただけ本当に嬉しいです…!この作品を通して柚葉さんに出会え、私こそとても楽しかったです!!ありがとう!!!!! (1月20日 16時) (レス) id: 827ada299b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チョコ&ピーナッツ | 作成日時:2023年12月17日 18時