夕食と乱入者、それからそれから 狂花 ページ41
「嗚呼、流石の僕も驚いた。君たちが普段いるハコニワパレットは−一切の能力の干渉を受けないんだろ?」
狂花が可笑しそうに笑うと、白華は無感動に頷いた。「道理で僕の能力でも上手く知覚出来なかったわけだ」と嘆息し、狂花は煙草とジッポライターを取り出して、煙草に火をつける。
「……ん、君も居るか?」
「いや、遠慮しておくよ。煙草の煙は毒ガスみたいなものだし」
「正論だ。僕は毒ガスを吸って安息を得ている異常者だよ」
これが味わい深いんだがな、と呟いて、狂花は煙を吐き出す。ニコチンとタールが織り成す安心感と、場の奇妙な居心地の良さのようなものを感じながら、向かいに座って四杯目の珈琲を飲んでいる白華をぼんやりと眺めている。窓から差し込んでくる斜陽が視界に入って、狂花は既に夕暮れ時な事に気付いた。
「もうこんな時間だな。何もせずに返すのも何だし、何か食べて行かないか?こう見えて僕は料理が出来る」
「断る理由はないね。頂くよ」
「そうか。少し待っていてくれ、それほど時間はかからない」
狂花は淡々と話を進め、席を立ってキッチンへと向かった。冷蔵庫の中身を回想しながら、ざっくりと献立を決める。作るものが決まってしまえば後は単なる作業で、狂花は三十分ほどで料理を終えた。盆に乗せた料理を運び、白華の前に置く。
「……おや、一人分多いようだが」
「ディアボロ・エックスバレットがここらに向かって来ているようだ。君にカルパスを催促する為じゃないか?」
「あんの中二病少女……」
心底うざったそうに頭を抱える白華から、普段の苦労を察する事は難しくない。そろそろだな、と狂花が呟くと、全く同時に戸を蹴破って少女が入ってきた。
「やっほーイラ厨眼鏡!珍しくパレットハコニワに帰ってこないから特別に迎えに来てあげたよーってうおっ!?こんな所に白髪赤眼美幼女発見!?ちょいとお待ちよイラ厨眼鏡、こんな優良素ざiゲフンゲフンかわい子ちゃんをどうやって見つけてきたんだいおいちょっと!あーちゃんといいこの子といい今日はかわい子ちゃん遭遇デーなの!?」
「うん、白華の気苦労がそれとなく知れるな」
「そうだろう、これがいつも同じ空間に居る私は前世でどれだけ悪徳を積んだんだと思う?」
ハアハアと涎を垂らすディアボロと、呆れたような表情でディアボロを見る狂花と白華。今この瞬間こそ、狂花の人生の中で最もうるさい瞬間になるかもしれない、と狂花は密かに思っていた。
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うp主こと東方好き死神まお(別アカ) - さっきさん» ありがとうございます! (2022年8月19日 13時) (レス) id: d45d880fd4 (このIDを非表示/違反報告)
さっき(プロフ) - 更新しました!あと、お話がいっぱいなので新しく作っておきます! (2022年8月19日 13時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
さっき(プロフ) - 更新します! (2022年8月19日 12時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 更新しました! (2022年8月19日 12時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 更新します! (2022年8月19日 12時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サナティ x他5人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2022年8月6日 9時