子分入り編 三十話 善逸くん、炭治郎くん待っててね!! ページ31
何時間かして帰ってきた鎹鴉が状況を説明してくれた。
敵の鼓を叩く度に部屋が回転したり人が移動する、まさに敵の独壇場に炭治郎と善逸くん、そして被害者の家族が足を踏み入れ、建物の中で離れ離れになって身動きが取れず右往左往しているらしい。善逸くんは建物からの脱出を試みたが迷ってしまって閉じ込められているらしい。
建物の中には鬼殺隊の隊服を身につけた、私の知らない人も一人いたそうだ。
しかも建物の中には何人もの人が死んだような痕跡があったことを鎹鴉が伝えてくれた。
「……!大ピンチじゃない!!早く、私も行かないと…!」
「Aハマトモに動ケナイ!!休メト爺チャン言ッタ!!」
「私善逸くんとも、炭治郎くんとも友達になりたいの!友達の危機に……ただ何も出来ずに無力な時間を過ごすのは…もう……」
私は昔、自分のために配達についてきてくれた友人を目の前で助けられず…いや助けようとほんの少しでも手を動かすことすら出来ず、見殺しにしてしまったあの時の思い出す。
「モウ?」
「あんなのは…もう、嫌なの!!傷がたとえ悪化したって度を過ぎた無茶しなければ生傷は治る。でも炭治郎くんと善逸くんが、もし…もしこのまま二度と帰って来なかったら……私一生後悔する。それは、もう二度と癒えない傷だよ。」
「二度と癒えない傷を負うかもしれない……。少しでもそのリスクを減らしたいの。だから私は行く。」
そう言って腹を押さえながら私が歩き出すと、
「ソンナヨレヨレシタ歩キ方デ誰ガ守レル?ホレホレ!」
と背中の傷や腹の痣を突っつく。
「痛イダロウ?鬼ハコノ程度デハ止メテハクレナイゾ」
「…ッッ痛く、なんか、ハァ、ないよ……」
大嘘だ。すっっごい痛い。
でもここで痛くないフリでもして自分も鎹鴉も騙さないと後で後悔する。
それが一番辛いのだとここ数年間ほぼ毎日痛感してきた。
私は走り出したいのに体が言うことを聞かず、壁に持たれ這いながら進む。
こんな状態で行って足でまといかもしれない。
だからこれは私のわがままだ。
少しでも何かしたい、また何もせず大切なものを失うのと、精一杯努力したのに届かなかったのでは私の中で大きく違う。
どんどん息は荒くなるけれど私はみんなは今どんな状況なのか、大丈夫なのかが早く確認したくて足を進めた。
神様、今日の足取りはなんだか友人を鬼に喰われた私が雪に足を取られながら歩くあの日にすごく似てる。
三十一話 善逸くん、どうやら修羅場みたいです!!→←二十九話 善逸くん、心配です!!
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翡翠すいすい - ただのアニメ好き☆さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです!応援もすごく励みになります!更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2019年8月10日 3時) (レス) id: 21e6df8405 (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - お話とっても素敵で更新する度すごく楽しく読ませていただいています!無理をなさらずにまた更新頑張ってください!応援しています!本当に大好きです! (2019年8月9日 11時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠すいすい | 作成日時:2019年8月9日 2時