次世代天才少女～揺らぐ信念、受け継ぐ思い～ (ページ44)

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42話ページ44

厳重に警備体制がひかれている入口を通り、薄暗い廊下を歩いていく。

突き当たりの大きな扉に差し掛かり、ゆっくりと開かれ、そこには聖帝と呼ばれる貫禄のある男と入学式の日に見かけた黒木と呼ばれる男がいた。

聖帝｢ご苦労だった剣城｣

黒木｢なんと、抵抗もなく連れてくるとは｣

Aは壇上の椅子に座る聖帝を見上げる。

パンフレットなどで見た事があるが、思ったより若い男のようだ。
でもただ若いだけではなくオーラというか威圧が全然違う。

聖帝｢では剣城、今回はこれで見逃してやる。
次はない......期待しているぞ｣

剣城｢もちろんです｣

聖帝｢お前も下がれ黒木｣

黒木と呼ばれる男と剣城は部屋をあとにし、その場にいるのは聖帝とAの2人っきりとなる。

A｢なにかご用があって呼ばれたみたいなのですが、一体何用でしょうか？｣

Aは早速本題に入ってもらおうと口を開く。

聖帝｢どうやら君も忙しい人間のようだ、単刀直入に話そう｣

聖帝は足を組みなおし、Aを見下ろす。

聖帝｢君の実力は今の男子サッカー界にも劣らない、いやトップレベルの実力であると高く評価している。
全く実力を発揮する場がないのは実に勿体ない。｣

A｢そんな高い評価を頂くなんて光栄です｣

Aは碌でもないことを言い出すのでは無いのかと身構える。

だいたい相手が最初にあげてくるのはそういう時だ。

聖帝｢.....君もこちら側につく気はないかね｣

A｢それはいわゆるシードにならないか.....ってことですかね｣

聖帝曰くシードになれば、化身を操る術を学ぶことが出来、活躍する場が設けられるとの事。

聖帝｢君には化身を操る才能は大いに秘められている。
恐らくちゃんとした指導を受ければ数日でマスターするだろう。｣

A｢それはとても魅力的なお話ですね｣

聖帝はAの態度に目付きが変わる。

A｢ですが丁重にお断りさせて頂きます。
私の1番大切なものを失うわけにいかないですから｣

確かにちゃんとした指導を受けられ、試合も出られるような環境は魅力的。
だけど雷門のみんなを敵に回して裏切るようなことだけは絶対にしたくない。

A｢お話は以上でしょうか？｣

聖帝｢まぁいい、俺たちはいつでも大歓迎だ｣

Aは問答無用で部屋をあとにした。

｢.....とりあえずこれで時間は稼げますかね｣

聖帝の座るひな壇の裏から白いスーツを着た男が現れる。

聖帝｢ここからが正念場だ｣