【企画本編】終末戦記 -零- 【フレディ視点】 (ページ4)

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――虹色の羽。

刹那、悪寒が背筋を駆け巡る。

逃げろ。
本能がそう告げた。

瓦礫の山に突っ込んで身を隠す。
……オレは何をやっているんだ？
顔だけ出して、相手を見る。

もうそこには誰もいなかった。
今のはなんだったんだ。なぜオレは今逃げたんだ。

「……クソッタレが！！」

後悔と怒りが湧き出し、我慢できなくなった。
瓦礫を貫く拳が痛いほど震える。
恐怖した？このオレ様が？
何者かも知らない奴に？

ああ、哀れなフレディ！
自分の弱さとまだ向き合えていないんだね！

「……るせえ、うるせえうるせえうるせえ！！」

当たり散らして、そのへんに転がる肉体を放り投げた。
魂のないそれは簡単に宙を飛んで、グシャリと地面に落ちる。
誰に言われたのか、どうして覚えているのかも分からない。
頭にこだまする声があまりにも不快だった。

勢い任せに、木材らしいものを掴んで投げ捨てる。終末によって空けられた穴だらけのゴミは簡単に形を崩した。
下には束ねた紙がたくさん落ちている。人間の体液に染まりかけた紙の束も蹴り飛ばした。一体何なんだよ、人間はこんなもん作って何がしてえんだ。ガサガサと物音を立てて、その下に埋まっているものをなんとなく掘り起こしていく。

その下に。
またこの終末を迎えた世界で、少年だった肉体が落ちていた。

他と違うのは、損傷がまだひどくないことくらいだろう。
腹部を貫通している。そこから流れ出ている液体はまだ赤い。……死んだばかりか？

あたりを見回した。

『……たくない』

いた。