【企画本編】終末戦記 -零- 【奥宮カナデ視点】 (ページ50)

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にこりと微笑みかけられ、何を、と言いかける。
ああ、そうだ。今はみんな、必死に戦っているんだから。私もそうしなくちゃいけないんだ。多分シエラちゃんもそうしてほしくて声をかけてくれた。シエラちゃんから渡されたものを、しっかりと握りしめる。

「キミは、自分が考えたものにいつだって作り変えることができる。時間をかけたらかけるほど、それはより強く効果を発揮するんだ」

多分彼女が求めているものを私は知っている。
材料にされたものは、私が力を込めた瞬間、白く眩い光を放つ。ものの数秒で、金属片だったものは不格好な銃へと形を変えた。

「さあ」

入口付近で砂埃が舞う。そろそろ崩れてしまうだろう。狙うべきは鳥の頭。
シエラちゃんの言う通りにすればきっと天使は倒せる。

けれど。
私がやりたいことは。私が今やるべき行動はこれじゃない。
頭が否定を繰り返す。明確な答えはそこにある。

「？ …カナ――」

手にしていた拳銃を下げた。
私は何も言わない。その手に握りしめた金属は形を変える。私が望んだ形に変わっていく。
体は前に進み、強烈な異臭を放つ獣の口へと吸い込まれていく。

獣に抱いた疑問の答えを知りたい。

数秒の無音。想定外の出来事に、開かれるシエラちゃんの瞳。
自ら飛び上がった体は、奇跡的にどこも傷つくことなく、外の世界と分断された。