【企画本編】終末戦記 -零- 【奥宮カナデ視点】 (ページ44)

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そういえば、とふとここまで書き込んで思い出す。
肉球の裏にあったもの。3つの黒い丸からできた、簡素な苦悶の表情。あれはなんだったんだろう。確かこんな形だったような。
クリームパンみたいにころころとしてしまった前脚に線を引いて、再現するように描いてみる。でもこれだとあんまり苦しそうに見えない。こんな丸っこい形だったっけな。

「み～せて♡」
「うわあ！？」

ひょい、と顔の左側に吐息を感じて思わず後ずさる。「そんなにビビることないのに～」と、ゼットさんはいつも通りニヤニヤと笑っていた。改めてノートを見せると、数秒後、ブフッと吹き出す声が漏れる。

「あっはははは、なにこれ、カナデちゃんの絵ゆるすぎ～！超ウケる！」
「わ、ちょっ、やめてください、まだ書いてる途中で！」

いつの間にか手帳を奪い取られ、ゼットさんは真っ先にメレディスさんの方へと向かう。皆とは言ってるけど、完全に友達同士でからかう気満々だ。

「おや、カナデさんの絵ですか。興味がありま……んんっふ、ふふふふ」
「そんなに！！？」
「失礼しました、ワタシが見た天使とはあまりにもかけ離れていたもので。けなしているわけではありませんよ。とても愛らしいと…ふふ、見せないでください。お話の続きができません」

そんなにひどいのかな。ほか二人にも見えるようにゼットさんがノートを広げる。

「うーん……ガールの絵くらい、可愛らしいものだったら良かったのだけど……」
「ジンさん？？？」

「ブサイク」
「レオくん！！？」

「とにかく、僕やジンさん達が知ってるのはこれくらい。もっと知りたいところはあるかもしれないけど、実際に出会った時に観察してる余裕なんてないよ」
「……そっか」
「ボーイの言う通りね。今は弱点や倒す方法しか知ることはできない。でも、ガール達が戦えるようになれば、もっと視野を広げることができる。きちんと作戦を立てて、余裕のある行動ができるはずよ」

ああ、やっぱりそういう話にはなっていくよね。